雇用保険料率引下げや介護休業給付率引上げが盛り込まれた雇用保険法等改正 国会提出
2016年1月19日のブログ記事「雇用保険法・雇用機会均等法・育介法等の改正法案要綱に「おおむね妥当」と答申」でとり上げたとおり、雇用保険法、雇用機会均等法・育児・介護休業法等の改正が検討されています。実際に、先週の金曜日(2016年1月29日)、今国会に法案が提出されましたので、その内容を確認しておきましょう。
今国会に提出された内容は、失業等給付に係る保険料率を引き下げるとともに、労働者の離職の防止や再就職の促進を図ることを目的とし、育児休業・介護休業の制度の見直しや雇用保険の就職促進給付の拡充等を行われるものになっています。
また、高年齢者の雇用を一層推進することが必要と考えられ、65歳以降に新たに雇用される労働者を雇用保険の適用対象とするほか、高年齢者の希望に応じた多様な就業機会の確保を図る等の措置を講ずることも目的とされています。具体的なものとしては以下が挙げられています。
失業等給付に係る保険料率の見直し(徴収法関係)
雇用保険の財政状況等を勘案し、失業等給付に係る雇用保険料率を引き下げる。(現行1.0%→0.8%)
育児休業・介護休業等に係る制度の見直し(育児・介護休業法、雇用保険法関係)
(1)多様な家族形態・雇用形態に対応するため、以下の措置を行なう。
1.育児休業の対象となる子の範囲の拡大(特別養子縁組の監護期間にある子等)
2.育児休業の申出ができる有期契約労働者の要件(1歳までの継続雇用要件等)の緩和等
(2)介護離職の防止に向け、以下の措置を行なう。
1.介護休業の分割取得(3回まで、計93日)
2.所定外労働の免除制度の創設
3.介護休暇の半日単位取得
4.介護休業給付の給付率の引上げ(賃金の40%→67%)等
高年齢者の希望に応じた多様な就業機会の確保及び就労環境の整備(雇用保険法、徴収法、高齢法関係)
(1)65歳以降に新たに雇用される者を雇用保険の適用の対象とする。
※ただし、保険料徴収は平成31年度分まで免除
(2)シルバー人材センターにおける業務について、都道府県知事が市町村ごとに指定する業種等においては、派遣・職業紹介に限り、週40時間までの就業を可能とする。
その他(男女雇用機会均等法、育児・介護休業法等、雇用保険法)
(1)妊娠した労働者等の就業環境の整備
妊娠、出産、育児休業・介護休業等の取得等を理由とする上司・同僚等による就業環境を害する行為を防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務づける。
(2)雇用保険の就職促進給付の拡充
・失業等給付の受給者が早期に再就職した場合に支給される再就職手当の給付率を引き上げる。
(支給日数:1/3以上を残した場合残日数の50%→60% 2/3以上を残した場合残日数の60%→70%)
・「求職活動支援費」として、求職活動に伴う費用(例:就職面接のための子の一時預かり費用)について新たに給付の対象とする。
施行期日に関しては、原則平成28年4月1日であり、(2)4.については平成28年8月1日、((2)4.以外)、(1)、については平成29年1月1日の予定です。これまでは、育児に関する対応が先行して進められてきましたが、今回は、介護に対しても対応が検討され、実務上大きな影響が出てくることが予想されます。
関連blog記事
2016年1月19日「雇用保険法・雇用機会均等法・育介法等の改正法案要綱に「おおむね妥当」と答申」
https://roumu.com
/archives/52094997.html
参考リンク
厚生労働省「第190回国会(常会)提出法律案」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/190.html
(宮武貴美)
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