35.3%の事業場が自己申告制で始業・終業時刻の把握を実施
2016年2月26日のブログ記事「過重労働解消キャンペーンによる監督署調査 対象事業場の73.9%が法令違反」では、厚生労働省の「過重労働解消キャンペーン」の実施結果について取り上げました。この記事では、主に労働基準関係法令違反について注目しましたが、今回は同実施結果の中にある「労働時間の管理方法」について確認しておきましょう。
労働時間の管理方法については、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」が設けられており、実務上、これに従った対応が求められています。具体的には、始業・終業時刻の確認及び記録の方法について、「使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること」もしくは「タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること」を原則としており、例外的に自己申告が認められることになっています。
今回の調査結果では、監督実施事業場における労働時間の管理方法についてもまとめられており、監督を実施した5,031事業場に関する結果は以下の通りとなっています。
使用者が自ら現認:509事業場
タイムカードを基礎:2,050事業場
ICカード、IDカードを基礎:900事業場
自己申告制:1,778事業場
その他(出勤簿等):779事業場
同じ事業場でも部署等で異なる労働時間の管理方法を採用している場合もありますが、実に自己申告制が35.3%に上っていることが分かります。自己申告制で行なう場合には、「自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること」といった措置が必要であり、より慎重な運用が求められています。
今後、さらに一層、過重労働対策・長時間労働対策が進み、労働時間の管理方法は重要度が増します。実態を適正に把握できているか、定期的に見直すことも必要になっています。
関連blog記事
2016年2月26日「過重労働解消キャンペーンによる監督署調査 対象事業場の73.9%が法令違反」
https://roumu.com
/archives/52097948.html
参考リンク
厚生労働省「平成27年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果を公表」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000113029.html
(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/
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