今年10月から500人以下企業についても年金適用拡大(20時間基準)が可能になる見込み

法改正 この国会は参議院選挙を控えていることもあり、労働関係法の改正も本数は少なく、また比較的地味なものが多いという印象を受けていますが、中には介護における所定外労働の免除制度の創設のような実務への影響が大きい法改正が含まれており注意が必要です。

 その他の法改正ということで、先週金曜日、公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案が国会提出されました。この改正法案のポイントは以下のとおりとなります。
短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進(平成28年10月実施)
 500人以下の企業も、労使の合意に基づき、企業単位で短時間労働者への適用拡大を可能とする。
国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料の免除(平成31年4月施行)
 次世代育成支援のため、国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料を免除し、免除期間は満額の基礎年金を保障する。この財源として、国民年金保険料を月額100円程度引上げる。
年金額の改定ルールの見直し((1)は平成30年4月、(2)は平成33年4月施行)
 公的年金制度の持続可能性を高め、将来世代の給付水準を確保するため、年金額の改定に際して、以下の措置を講じる。
(1)マクロ経済スライドについて、年金の名目額が前年度を下回らない措置を維持しつつ、賃金・物価上昇の範囲内で 前年度までの未調整分を含めて調整する。
(2)賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動に合わせて年金額を改定する考え方を徹底する。

 短時間労働者への厚生年金の適用拡大については、501人以上の企業等については今年10月から適用拡大が実施されることになっていますが、この改正により、500人以下の企業であっても短時間労働者への適用を行うことができるようになります。社会保険料の高さについては労使共に負担が大きいことから、どこまでこの制度を利用されるかは未知数ですが、実務家としては押さえておきたい改正となります。


関連blog記事
2016年2月2日「雇用保険料率引下げや介護休業給付率引上げが盛り込まれた雇用保険法等改正 国会提出」
https://roumu.com
/archives/52096104.html

参考リンク
厚生労働省「第190回国会(常会)提出法律案」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/190.html

(大津章敬)

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