増加する雇用均等室へのマタハラ相談 求められる来年1月法改正に向けた対応

均等法 2016年6月7日のブログ記事「増加する雇用均等室によるパートタイム労働法に関する是正指導」では、平成27年度の都道府県労働局雇用均等室での法施行状況の中から、是正指導の状況について取り上げました。本日はその内容を更に掘り下げ、男女雇用機会均等法に関する指導の状況について見ておきましょう。

 今回の調査結果から、労働者からの相談を内容別に見てみると、多いものから順に以下のようになっています。
第11条関係(セクシュアルハラスメント) 6,827件(55.7%)
第9条関係(婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱) 4,776件(20.4%)
第12条、13条関係(母性健康管理) 3,417件(14.6%)

 このように第11条関係(セクシュアルハラスメント)が相談件数では相変わらずのトップとなっていますが、この件数は前年度よりも減少しています。これに対し、第9条関係(婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱)、いわゆるマタハラが前年度にくらべ17.7%増加しています。

 この婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱については、平成26年10月の最高裁判決を受けて、通達が改正されており、妊娠・出産、育児休業等を契機としてなされた不利益取扱いは、原則として違法と解されることが明確化されています。具体的な不利益取扱いとしては、以下のようなものが挙げられており、企業としてはこのような取扱いがなされていないか、改めて確認しておきたいものです。
・解雇
・雇止め
・契約更新回数の引き下げ
・退職や正社員を非正規社員とするような契約内容変更の強要
・降格
・減給
・賞与等における不利益な算定
・不利益な配置変更
・不利益な自宅待機命令
・昇進・昇格の人事考課で不利益な評価を行う
・仕事をさせない、もっぱら雑務をさせるなど就業環境を害する行為をする

 また、この男女雇用機会均等法は先日の国会で改正法が成立しており、平成29年1月より不利益取扱いの禁止に加えて防止措置義務が新たに追加されます。内容としては、上司・同僚などが職場において、妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする就業環境を害する行為がないよう従業員へ周知をしたり、相談窓口をつくることなどが想定されています。具体的には、今後、指針で定められることから、情報にアンテナを張っておきましょう。


関連blog記事
2016年6月7日「増加する雇用均等室によるパートタイム労働法に関する是正指導」
https://roumu.com
/archives/52106097.html

参考リンク
厚生労働省「都道府県労働局雇用均等室における法施行状況について」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/sekou_report/

(福間みゆき)

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