新卒の採用選考 6月解禁前に約57%の企業が実施

zu 2016年10月13日のブログ記事「経団連 採用選考に関する指針を公表 2018年入社は前年同様のスケジュールに」では、経団連が2018年の採用選考スケジュールを今年同様に6月解禁と発表したことを紹介しましたが、今年は採用選考の開始時期が昨年の8月から6月に変更された初年度でした。このスケジュール変更に対する企業の反応はどのようなものだったのでしょうか。

 文部科学省がこの9月に発表した「平成28年度 就職・採用活動に関する調査(企業)調査結果【速報版】」では、全国の企業を対象に、様々な切り口で行った採用選考に関する調査結果が紹介されています。これによると、経団連の指針である6月解禁よりも前に採用選考を始めた企業は、大企業で56.7%、中小企業で57.7%、全体で約57%という結果になっています。

 ここで注目しておきたいのは、学生への配慮という点です。昨年は8月解禁であったため、夏休みでの採用活動が主となっていたかと思いますが、今年は6月解禁となったことや上述のとおり、半数以上の企業が解禁日前に採用選考を開始しているため、授業やゼミの時間と採用面接日程が重なるという事態も当然出ています。

 そのため、学生側から採用面接日の変更などの相談があったという企業は全体の67.1%となっており、83.4%の企業が学業等への配慮を行ったということです。具体的な配慮としては、「授業等の事情に応じて面接の日程変更を行った(70.6%)」、「説明会や面接日について余裕を持って連絡するように努めた(70.2%)」、「夕方や土日に説明会や面接を行った(42.2%)」と続いています。

 このように、多くの企業が学生への配慮を行っているため、逆に配慮に欠けるような採用選考活動をしていると、学生側からは、他社に比べて自社の都合を押し通す「ブラック企業」という認識をされてしまう危険性があるかもしれません。学生側のスケジュールを意識し、採用選考試験が受けやすいよう配慮することは機会損失を減らすことにもつながるでしょうから、このような統計調査を活用し、他社の動向を踏まえ、工夫をしていきたいものです。


関連blog記事
2016年10月13日「経団連 採用選考に関する指針を公表 2018年入社は前年同様のスケジュールに」
https://roumu.com
/archives/52115455.html

2015年12月9日「経団連 採用選考に関する指針を再度改定し、選考活動解禁を2ヶ月前倒し」
https://roumu.com
/archives/52091625.html

参考リンク
文部科学省「平成28年度 就職・採用活動に関する調査(企業)調査結果報告書」
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/gakuseishien/1377505.htm
(佐藤和之)

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