大企業のIT化に対して遅れを取る中小企業の勤怠管理
時間外労働の上限規制の導入が確実となり、長時間労働の撲滅は労務管理における最重要課題の一つとなっています。2017年3月23日のブログ記事「労働時間の上限規制 中小企業で懸念される業績への悪影響」では、株式会社東京商工リサーチが2017年2月に全国約12,500社に対して行った「長時間労働」に関するアンケート調査の結果を取り上げましたが、本日もこの調査の中から、残業削減の取り組み、管理方法について取り上げたいと思います。
残業削減の取り組みに関しては、全体の79.7%の企業が既に何らかの取組みを行っており、企業規模を問わず残業削減に対する課題認識はあるようです。その取組みの内容としては、「仕事の効率向上のための指導(37.8%)」が約4割を占めトップとなっており、次いで、「仕事の実態に合わせた人員配置の見直し(29.8%)」、「ノー残業デーの設定(15.8%)」、「勤務体系や役職等の変更(8.2%)」と続いています。
一方、残業の管理方法について見てみると、大企業では「業務パソコンの勤怠管理ソフト導入(48.0%)」がほぼ半数を占め、勤怠管理のIT化が進んでいるのに対して、中小企業では「タイムカード(40.7%)」、「台帳記入(26.8%)」と従来型の管理方法が占めており、そもそもの残業の管理方法自体に企業規模による格差があることがわかりました。
中小企業の残業削減においては、まずは現状の把握や分析を行うために、勤怠管理の仕組みを見直し、管理の効率化や管理データのデジタル化を行うことが必要なのかもしれません。そのような取組みを行う際には、「職場意識改善助成金」などの助成金を活用することも検討したいものです。
関連blog記事
2017年3月23日「労働時間の上限規制 中小企業で懸念される業績への悪影響」
https://roumu.com
/archives/52125796.html
2017年3月18日「注目の「時間外労働の上限規制等に関する政労使提案」が公表に」
https://roumu.com
/archives/52125772.html
参考リンク
東京商工リサーチ「「長時間労働」に関するアンケート調査」
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170310_01.html
厚生労働省「労働時間等の設定の改善:職場意識改善助成金」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/index.html
(佐藤和之)
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