特定受給資格者の範囲の変更と求められるマタハラへの雇用管理上の措置

tokutei 2017年1月16日のブログ記事「2017年1月より変更になった離職票の様式と特定受給資格者の範囲」では、今年の1月より雇用保険における特定受給資格者の範囲が変更されたこと等をご紹介しました。4月よりこの特定受給資格者の範囲がさらに変更になっていますので、今日はその内容を確認しておきましょう。
 そもそも特定受給資格者の範囲は、「倒産」等により離職した者、「解雇」等により離職した者の2つに分かれます。各々さらに細分化され、特定受給資格者に該当するか否かは細かな判断が行われますが、今回、「解雇」等により離職した者の中の、「⑩事業主又は当該事業主に雇用される労働者から就業環境が著しく害されるような言動を受けたことによって離職した者」が変更となり、マタハラに関連するものが追加されました。

 具体的な内容を厚生労働省から発行されたリーフレットで確認すると、以下の文章が追加となっています。
「 事業主が育児・介護休業法第25条、男女雇用機会均等法第11条の2に規定する職場における妊娠、出産、育児休業、介護休業等に関する言動により労働者の就業環境が害されている(以下「妊娠、出産等に関するハラスメント」という。)事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかった場合に離職した場合が該当します。
 この基準は、当該労働者が事業主等に、上司又は同僚から妊娠、出産等に関するハラスメントを受けていると相談を行っていたにも関わらず事業主において雇用管理上の必要な措置を講じなかったため離職した場合において該当します。」

 マタハラについては、今年の1月から追加されていますが、新たにマタハラが発生したことに対し、企業が適切な措置を取らなかった場合にも、特定受給資格者に該当することになります。

 現状、マタハラに関する防止措置はすでに法律で事業主の措置義務となっています。そもそもマタハラが発生しないようにすることも重要ですが、仮に発生してしまった場合に、従業員が相談でき、適切な対処を取れるような体制整備を行うことが求められています。

 なお、変更された特定受給資格者の範囲が掲載されているリーフレットは以下よりダウンロードできます。
「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準(平成29年4月1日版)」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51469541.html


関連blog記事
2017年4月25日「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準(平成29年4月1日版)」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51469541.html
2017年1月16日「2017年1月より変更になった離職票の様式と特定受給資格者の範囲」
https://roumu.com
/archives/52121963.html

2017年1月16日「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準(平成29年1月1日以降離職版)」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51455388.html
2016年9月12日「来年1月1日に施行される雇用保険特定受給資格者の範囲見直し」
https://roumu.com
/archives/52113271.html

参考リンク
厚生労働省「基本手当について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135026.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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