東証一部上場企業の初任給 前年据え置きが7割も、大卒は遂に21万円台に

初任給据え置き率の推移 ここ数年、ベースアップと採用難の影響から多くの企業で初任給の見直しが進められてきましたが、先日、一般財団法人労務行政研究は、今年4月の新卒入社者の初任給の調査結果を発表しました。なお、今回の調査は、東証第1部上場企業1904社と、生命保険、新聞、出版でこれに匹敵する大手企業11社を加えた合計1,915社を対象に実施されたもので、4月5日までにデータの得られた228社について集計したものとなっています。
2017年度決定初任給の据え置き状況
 全学歴で引き上げを行った企業は29.4%となり、70.2%の企業が据え置きとしています。グラフを見れば分かるとおり、2014年以降、初任給の見直しを行う企業が増加していましたが、それも徐々に落ち着きつつあるようです。もっとも中小企業においては、まだまだ初任給水準に問題がある企業も多く、採用競争力という点で課題が残っていますので、今後も引き上げは続くことになるかも知れません。

学歴別初任給
 学歴別の初任給は以下のようになっています。( )内は前年度からの上昇額。
大学院卒
 博士  243,289円(+496円)
 修士  228,046円(+830円)
大学卒
 一律  210,868円(+1,180円)
 基幹職 213,130円(+851円)
 補助職 187,973円(+676円)
短大卒
 事務  178,927円(+876円)
高専卒
 技術  188,525円(+944円)
専門学校卒(2年制)
 事務  181,572円(+869円)
高校卒
(事務技術)
 一律  166,231円(+960円)
 基幹職 168,758円(+736円)
 補助職 160,435円(+657円)
(現業) 167,759円(+600円)

 初任給据え置きの企業が多かったとは言え、大卒初任給は遂に21万円台に乗ってきています。バブル期に並ぶような深刻な人材難の中、今後も新卒採用については完全な売り手市場が続きます。初任給で見劣りがないようにしておくことは重要ですが、それだけではない、学生から選ばれる工夫が求められています。


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2016年5月6日「東証第1部上場企業の33.9%が学卒初任給の引き上げを実施 大卒は遂に21万円台に」
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参考リンク
労務行政研究所「2017年度 新入社員の初任給調査」
http://www.rosei.or.jp/research/pdf/000070502.pdf?_ga=2.84787929.1982767277.1494113850-482602456.1438437522

(大津章敬)

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