労働政策審議会の議論で見えてきた労働時間上限の取り扱い

論点 2017年5月2日のブログ記事「働き方改革実行計画を受け、労政審で始まった「時間外労働の上限規制」の詳細議論」では、第133回労働政策審議会労働条件分科会で明示された労働時間上限規制等に関する論点ですが、その後、議論が進められ、その方向性が一部見えてきました。

 2017年5月12日に開催された第134回労働政策審議会労働条件分科会の資料を見ると、労働時間上限の取り扱いの方向性は以下のようになっています。
時間外労働の上限規制は、現行の限度基準告示のとおり、労働基準法に規定する法定労働時間を超える時間に対して適用される。
36協定で延長時間を定める対象期間について、現行制度は「1日」、「1日を超え3か月以内の期間」及び「1年」と定めることになっているが、今後は「1日」、「1か月」及び「1年」の3区分に固定する。
1年単位の変形労働時間制については、現行の限度基準告示を踏襲し、原則の上限を月42時間、年320時間とする。その上で、月42時間を上回る特例の適用の上限を年6回とする。
(原則の月45時間には休日労働を含まないが、)休日労働を含んで複数月平均80時間以内、単月100時間未満の限度は、特例を活用しない通常の月にも適用する。

 働き方改革実行計画では十分に議論されていなかった、実務上の論点について、少し見え始めましたが、中でもについては、現在、3ヶ月で延長時間を協定している企業などには影響が出ることになります。また1年単位変形労働時間制の限度時間も現在の限度時間告示の時間数が継承されることになりそうです。


関連blog記事
2017年5月2日「働き方改革実行計画を受け、労政審で始まった「時間外労働の上限規制」の詳細議論」
https://roumu.com
/archives/52128646.html

2017年5月1日「厚生労働省 勤務間インターバルの就業規則規定例を公開」
https://roumu.com
/archives/52128497.html

2017年3月29日「働き方改革実現会議 大注目の「働き方改革実行計画(案)」を公開」
https://roumu.com
/archives/52126469.html

参考リンク
厚生労働省「第134回労働政策審議会労働条件分科会」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000164677.html

(大津章敬)

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