規制改革推進会議 36協定の締結指導に社労士など民間の活用を提言
2017年5月24日のブログ記事「規制改革推進会議 平成32年度に向け、社会保険手続き電子化を徹底すると答申」では、2017年5月23日に内閣府で開催された第18回規制改革推進会議で示された規制改革推進に関する第1次答申の中から、社会保険関連手続の見直しについての記載について取り上げました。
この答申には人事労務に関することだけでも複数の論点が見られます。そこで本日は、話題となっている労働基準監督業務の民間活用等について取り上げましょう。
労働基準監督業務の民間活用等については以下のような記載が見られます。
【a:36協定未届事業場であって就業規則作成義務のある事業場については平成30年度開始、平成32年度までに措置、それ以外の事業場については平成33年度以降に計画的に措置、なお、労働基準監督官による監督指導については平成30年度以降継続的に措置、b:平成29年度以降検討】
労働基準監督業務については、労働基準監督官の定員数は一定の増加が図られているが、近年、総事業場数に対する定期監督(各労働局の管内事情に即して対象事業場を選定し、年間計画により実施する監督)を実施した事業場数の割合が3%程度にとどまっており、事業場に対する十分な監督が行われているとは言い難い状況にある。また、定期監督を実施した事業場数のうち違反事業場数は約7割と、高い割合で推移している。
今後、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議)を踏まえ、罰則付きの時間外労働の上限を導入する労働基準法改正法案が提出されることとなっており、更なる法規制の執行強化が求められている中にあって、小売店・飲食店を中心に事業場数が多い中で十分な監督ができていない、事業場における36協定の締結・届出に関する基礎的な知識が十分でないといった課題に適切に対応するため、労働基準監督官の業務を補完できるよう、民間活用の拡大を図ることが不可欠である。さらに、社会経済情勢の変化を踏まえた、労働基準監督署における監督指導の実効性の確保・強化についても検討が必要である。したがって、
a 労働基準監督業務の民間活用の拡大のため、以下の措置を講ずる。
・民間の受託者(入札により決定し、契約により、秘密保持や利益相反行為・信用失墜行為の禁止を義務付け)が、36協定未届事業場(就業規則作成義務のある事業場、同義務のない事業場)への自主点検票等(36協定の締結状況、労働時間上限の遵守状況、就業規則の策定、労働条件明示の状況などの点検票等)の送付や回答の取りまとめを行い、指導が必要と思われる事業場や回答のない事業場等について、同意を得られた場合に、労務関係書類等の確認及び相談指導を実施する。
・労働基準監督官は、これらに応じなかった事業場、及び、確認の結果、問題があった事業場に、必要な監督指導を実施する。
b 労働基準監督署における監督指導の実効性の確保・強化のため、労働基準法違反に対する抑止・是正効果を高める措置について、引き続き検討する。
このように36協定の未届事業場の監督指導を強化することを目的とし、その一部の業務を社会保険労務士など民間事業者に委託するという方針が示されています。現実には監督指導の前段階の情報処理といった感じではありますが、36協定の締結指導が今後増加することは確実です。適正な締結と届出を行うようにしましょう。
関連blog記事
2017年5月24日「規制改革推進会議 平成32年度に向け、社会保険手続き電子化を徹底すると答申」
https://roumu.com
/archives/52130143.html
参考リンク
内閣府「第18回規制改革推進会議」
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20170523/agenda.html
(大津章敬)
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