労政審で示された「同一労働同一賃金に関する法整備について(報告)(案)」

1 同一労働同一賃金は、労働時間規制と並んで働き方改革の2本柱となっていますが、2017年6月6日に厚生労働省で行われた「第5回労働政策審議会労働条件分科会・職業安定分科会・雇用均等分科会同一労働同一賃金部会」において、「同一労働同一賃金に関する法整備について(報告)(案)」が示されました。

 ここでは、「待遇差が不合理と認められるか否かの判断は、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に対応する考慮要素で判断されるべき旨を明確化することが適当である」といった基本的な考え方が示されていますが、具体的な内容への言及はそれほど見られないという印象を受けます。また長澤運輸事件で注目を集める定年後の継続雇用の有期契約労働者に関する差別的取扱の解釈についても、「退職一時金及び企業年金、公的年金の支給、定年後の継続雇用における給与の減額に対応した公的給付がなされていることを勘案することを認めるか否かについては、引き続き検討を行い、追って解釈の明確化を図っていくことが適当である」とし、結論を先送りしています。

 2017年6月6日のブログ記事「労働政策審議会建議「時間外労働の上限規制等について」が公表されました」で取り上げた時間外労働の上限規制に関する建議は政労使合意をベースとしているだけに非常に具体的な内容となっていましたが、同一労働同一賃金についてはまだ十分なコンセンサスが得られていないという印象を与える内容になっています。今後の法改正の動向に注目しましょう。


関連blog記事
2017年6月7日「労政審建議「時間外労働の上限規制等について」における限度時間適用除外業務等の見直し」
https://roumu.com
/archives/52130960.html

2017年6月6日「労働政策審議会建議「時間外労働の上限規制等について」が公表されました」
https://roumu.com
/archives/52130945.html

参考リンク
厚生労働省「第5回労働政策審議会労働条件分科会・職業安定分科会・雇用均等分科会同一労働同一賃金部会」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000165254.html

(大津章敬)

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