人材不足を背景に中小企業に積極的な姿勢が見られる今春の賃上げ

今春の賃上げ 桜も咲き、まもなく4月を迎えるこの時期は、昇給の試算を行っている担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に今年はベアを行うべきか、また昇給の水準はどうしたらよいかと悩んでしまうことも多いのではないかと思います。そこで今回は、東京商工リサーチの「2018年度「賃上げ見通し」、「労働環境の改善」に関するアンケート調査」の結果をご紹介しましょう。なお、本調査は2018年2月15日~28日にインターネットで実施されたもので、有効回答は7,151社となっています。
賃上げの実施予定
 今春の賃上げの実施意向は、回答全企業のうち、「実施予定」が86.1%となっています。「賃上げ」の内訳は、「定期昇給のみ」が33.1%でトップ。次いで、「定期昇給+賞与増額」が15.4%となっています。なお、「ベースアップ」実施は、大企業が32.4%、中小企業が33.5%で、中小企業が1.1ポイント上回っています。
定期昇給額
 定期昇給額については、全企業のうち、最多は「5,000円以上1万円未満」の29.8%となっており、次いで、「3,000円以上4,000円未満」が24.7%(729社)、「2,000円以上3,000円未満」が16.3%(480社)だった。2,000円以上の回答は、86.5%(2,546社)と9割弱となっています。規模別では、大企業は「5,000円以上」が31.5%に対し、中小企業は37.9%。なお、中央値は大企業も中小企業も3,000円となっています。
ベア
 ベアの水準については、全企業で、最多は「5,000円以上10,000円未満」の24.3%、次いで、「3,000円以上4,000円未満」が20.3%、「2,000円以上3,000円未満」の19.7%(276社)と続いています。「10,000円以上」も13.3%となっています。規模別では、大企業で5,000円以上のベースアップを予定しているのは24.5%に対し、中小企業は39.3%で14.8ポイント上回っています。なお、大企業の中央値は2,500円、中小企業は3,000円となっています。

 人材不足による人材引き止めや新規採用を目的に、大企業より中小企業の方が積極的に賃上げに取り組む姿勢が見られる結果となっています。相対的に収益性が劣る中小企業にとっては厳しい時代となっています。


関連blog記事
2018年3月15日「春闘の回答速報が出ています」
https://roumu.com
/archives/52147343.html

2018年3月7日「企業よりも中小企業の意欲が高い今春の「賃金改善」意向」
https://roumu.com
/archives/52146073.html

参考リンク
東京商工リサーチ「2018年度「賃上げ見通し」、「労働環境の改善」に関するアンケート調査」
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20180323_01.html

(大津章敬)

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