清算期間3ヶ月のフレックスタイム制における法定時間外労働の計算方法
来春施行の改正労働基準法の中で、清算期間が3ヶ月に延長されるフレックスタイム制の規制緩和は、実務家にとってはなかなか面白い内容となっています。従来より、育児・介護・病気治療などとの両立という視点からフレックスタイム制導入の声が強まっていますが、1ヶ月を超える期間での業務の繁閑がある場合には使いにくい制度となっていました。しかし、今回、清算期間が3ヶ月に延長されることによって、1年単位の変形労働時間制のような感じでの運用ができ、1ヶ月を超える期間での繁閑を平均化できることになりました。
これで来春以降、フレックスタイム制を導入する企業の増加が予想されますが、実務上、煩雑さが予想される清算期間が1ヶ月を超え3ヶ月以内の場合の時間外手当の取り扱いが、通達「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(基発0907第1号 平成30年9月7日)」で明確になりました。
清算期間が1ヶ月を超え3ヶ月以内の場合の時間外手当の対象となる法定時間外労働は、次の及びを合計した時間となります。
清算期間を1ヶ月ごとに区分した各期間(最後に1ヶ月未満の期間を生じたときには、当該期間)における実労働時間のうち、各期間を平均し1週間当たり50時間を超えて労働させた時間。
[具体的な計算方法]
清算期間を1ヶ月ごとに区分した期間における実労働時間数―50時間×清算期間を1ヶ月ごとに区分した期間における暦日数÷7日
清算期間における総労働時間のうち、当該清算期間の法定労働時間の総枠を超えて労働させた時間(ただし、上記アで算定された時間外労働時間を除く。)
よって実務的には、清算期間を1ヶ月ごとに区分した各期間における実労働時間が平均し1週間当たり50時間を超えて労働させた場合にはのルールで時間外割増賃金を支給し、3ヶ月が終了した時点での時間で精算するということになります。
結構煩雑な対応となりますので、今後、フレックスタイム制を導入する際にはその管理方法も十分に検討することが求められます。
関連blog記事
2018年9月20日「使用者の時季指定による年休 半日単位でも問題なし~働き方改革関連法の政省令等に関する通達が公開に」
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2018年9月8日「働き方改革関連法の政省令が公布されました」
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参考リンク
法令等データベース「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T180919K0010.pdf
(大津章敬)
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