労働保険事務組合ってなんですか?

 宮田部長は、先日かかってきた労働保険事務組合からの電話が心に引っ掛かっていた。そこで大熊の訪問日を待って尋ねることにした。


宮田部長宮田部長:
 大熊先生、先日「ロウドウホケンジムクミアイ」と名乗るところから、電話がかかってきたんです。「社長も労災保険に加入できますよ」という案内だったんですけど、このジムクミアイっていうのはどのようなものなのですか?
大熊社労士:
 かなり前に社長も加入できる労災保険制度という話をしたのですが、労働保険事務組合もこのときにちらっと説明しませんでしたか?
ましたね?
宮田部長:
 え!そうでしたか。すっかり忘れてしまいましたよ。
大熊社労士:
 私もうろ覚えなんですけどね。さて、この事務組合ですが、一般的にもっとも大きなメリットは、労災保険に加入することができない事業主や家族従事者なども労災保険に特別加入し、従業員とほぼ同じような保険の給付が受けられることかと思います。
宮田部長:
 そうか、労災保険は労働者災害補償保険だから、経営者は入ることができなかったんですよね。それが事務組合に加入することで、その特別加入ができるようになるのですね?
大熊社労士:
 はい、そうです。その他にも労働保険料の申告・納付等の労働保険事務を事業主に代わって処理することになっています。代行してくれるので、事務の手間が省けるという点もメリットになります。
服部社長服部社長:
 なるほど、当社はある程度従業員数がいて、福島さんのような優秀な人材を事務として配置しているので自社で事務処理ができるけれど、従業員数の少ない企業だと、事務担当を置いていなかったり、そもそも手続きが稀で、都度調べてやることが時間のロスになったりするだろうね。
宮田部長:
 社長、いらっしゃったのですね。びっくりした~。
服部社長:
 あ、すまないすまない。会議室の前を通ったら、大熊さんの声がしたものでね。失礼しました。
大熊社労士:
 いえいえ、とんでもないです。先ほどの話、まさに服部社長のおっしゃる通りです。書類を作成して、届出をする。一言で済ませるのであればこうなりますが、法改正もあれば、イレギュラーケースも出てくる。1年に何度あるか分からないような手続きならば、専門家に任せようという考え方もでてきますよね。
宮田部長:
 確かにそうですね。ところで他のメリットはないのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、この他に労働保険料の金額にかかわらず、労働保険料を3回に分割納付できるというものがあります。労働保険料は概算保険料総額が40万円以上(労災保険または雇用保険のみ加入は20万円以上)でなければ分納が認められていません。ただし、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合には延納が可能なのですよね。
服部社長:
 労働保険料は社会保険料と異なり、一度に支払わなければならないので、資金繰りで厳しい企業もあるでしょうからね。
宮田部長:
 でも、そういうのって組合費のようなものが必要だったりするのですよね?
大熊社労士:
 はい、どの事務組合に委託するかにもよりますが、入会金・委託手数料等が必要だったりします。加入を検討されるのであれば、事前にしっかりと確認しておきたいところですよね。
服部社長:
 なるほど。それでその事務組合にはどのような企業でも委託できるのですか?
大熊社労士:
 いえ、そもそもが中小企業を対象としていますので、以下のように業種と常時使用する労働者数で委託できるかが分かれます。
■金融・保険・不動産・小売業・・・50人以下
■卸売の事業・サービス業・・・100人以下
■その他の事業・・・300人以下
宮田部長:
 当社は製造業で従業員数が50名なので、委託しようと思えば、できるということですね。
大熊社労士:
 はい、おっしゃる通りです。また、委託できる事務の範囲も概ね以下のように決まっています。
(1)概算保険料、確定保険料などの申告及び納付に関する事務
(2)保険関係成立届、任意加入の申請、雇用保険の事業所設置届の提出等に関する事務
(3)労災保険の特別加入の申請等に関する事務
(4)雇用保険の被保険者に関する届出等の事務
(5)その他労働保険についての申請、届出、報告に関する事務
宮田部長:
 なんかよくわからないけど、かなりの範囲が委託できそうな雰囲気ですね。
大熊社労士:
 はい、そうですね。ただし、印紙保険料に関する事務並びに労災保険及び雇用保険の保険給付に関する請求等の事務は除かれています。つまり、育児休業給付については、委託できずに自社で処理をすることになります。
宮田部長:
 へぇ、その部分が切り離されていると不便ですね。
大熊社労士:
 確かにそうですね。ただ、特別加入をしたいというのであれば、逆に委託しないと加入できないということになりますので、そこはきちんと自社で整理しておくべき点になろうかと思います。
宮田部長:
 そうですね。ありがとうございました。

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to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今日は労働保険事務組合について取りあげました。次回は特別加入するときの手続きについて取りあげることにしましょう。


関連blog記事
2009年6月1日「社長も加入できる労災保険制度があるのですか?」
https://roumu.com/archives/65100380.html

参考リンク
厚生労働省「労働保険事務組合制度とは」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/kumiai-seido.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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