労災保険の特別加入が手厚くなったのですか?

 大熊は以前、説明すると伝えていた労災保険の特別加入について、服部印刷で行おうと宮田部長のもとに向かった。


大熊社労士:
 こんにちは。今日は、以前お話をしていた特別加入のことについて説明したいと思います。といっても、制度そのもののことは以前お話ししたことがありましたので、今日はこの9月から拡大された給付基礎日額のことについてお話ししたいと思います。
宮田部長:
 給付基礎日額・・・ですか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい。まずは通常の労災保険の整理からしておくと、従業員の方が、仮に業務中に事故が起こり、それが原因のケガで会社を休まなければならない場合、休業補償給付というものを受けることができます。
宮田部長:
 なんか、それ聞いたことがありますね。標準報酬月額の3分の2とかいうやつでしたっけ?
大熊社労士:
 んー、惜しい!それは健康保険の傷病手当金ですね。こちらは労災保険で、平均賃金の6割となっています。
宮田部長:
 近いところまで行っていたのにな。で、平均賃金って、確かお給料の6ヶ月分を180日で割るんでしたよね?
大熊社労士:
 んー、惜しい!それは、雇用保険の基本手当日額を算出する方法ですね。
宮田部長:
 なんだかこんがらがりますね・・・。
大熊社労士:
 そうですね。で、平均賃金とは、事故発生前のお給料の3ヶ月分をその暦日で割って算出するものです。
宮田部長:
 あ!解雇予告手当とかに利用するやつですね。
大熊社労士:
 ピンポーン!
宮田部長:
 大熊先生、昭和の時代丸出しですね(笑)
大熊社労士:
 ・・・失礼しました。それで労働者の場合には、平均賃金≒給付基礎日額として取り扱うのですが、特別加入については、あらかじめ給付基礎日額を決定しておくのです。休業補償給付や障害補償給付の計算根拠となる数字ですから、実態にあった金額を設定しておいた方がよいですね。
宮田部長:
 なるほど。ということは、役員報酬が50万円であれば、1日当たり16,666円とかということですね。
大熊社労士:
 考え方はよいのですが、好きな額を設定できるわけではなく、以下の中から選択する必要があります。(~2013年8月)
3,500円、4,000円、5,000円、6,000円、7,000円、8,000円、9,000円、10,000円、12,000円、14,000円、16,000円、18,000円、20,000円
宮田部長:
 そうかぁ。となると、さっきの例は、16,000円かな。
大熊社労士:
 そうですね。それが妥当でしょう。
宮田部長:
 じゃぁ、役員報酬が100万円の人は、1日当たり33,333円・・・ん?この場合、20,000円を選択するしかないのですか?
大熊社労士:
 はい、実はそうなんです。ただ、今、宮田部長に挙げていただいたような事例が発生していたので、実はこの9月から上限額が25,000円に引き上げられまあした。つまり、今後は以下の額も選択できるようになります。
22,000円、24,000円、25,000円
宮田部長宮田部長:
 なるほど。でも、引き上げは25,000円までだから、先ほどの例では、25,000円を選ぶことがよいということになるのですね。
大熊社労士:
 はい、そうですね。まぁ、でもこの5,000円の引き上げは大きいと思っているのですけどね。
宮田部長:
 なるほど、確かにそうなのかもしれませんね。
大熊社労士:
 今日は給付基礎日額の変更の話をしましたが、次回は給付基礎日額の変更タイミングと保険料の納付方法についてお話しすることにしましょう。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今日は労災保険の特別加入者の給付基礎日額の引き上げについてお話しをしました。この日額の引き上げに伴うすでに加入している人への対応ですが、これは現在のタイミングではできず、来年度(平成26年度)から変更できることになっています。


関連blog記事
2009年6月1日「社長も加入できる労災保険制度があるのですか?」
https://roumu.com/archives/65100380.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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