改正パート法(2)新設された事業主の説明義務等
今日は改正パートタイム労働法の説明の第2回。まずは概要の理解ということで、大熊は服部印刷に向かった。
前回のブログ記事はこちら
2014年5月12日「改正パート法(1)正社員と差別的取り扱いが禁止されるパートタイム労働者の拡大」
https://roumu.com/archives/65657745.html
大熊社労士:
こんにちは、大熊です。前回に引き続き、パートタイム労働法のお話をしましょうか。
宮田部長:
はい、よろしくお願いします。
大熊社労士:
今回は、法改正により新設された規定を3つの概要を確認しておくことにしましょう。
宮田部長:
3つも新設された項目があるのですか?
大熊社労士:
はい、そうなんです。その3つとは以下のとおりです。
「短時間労働者の待遇の原則」の新設
パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設
パートタイム労働者からの相談に対応するための事業主による体制整備の義務の新設
宮田部長:
なんだか難しそうですね。
大熊社労士:
確かにについては少し概念的なところがあるので難しく感じられるかもしれませんね。前回は「正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者」として、要件が3つから2つに変更になったことをご紹介しました。これは2つの要件が同一ならば差別的な取扱いをしてはいけないということでしたが、新設された規定では正社員とパートタイム労働者の待遇の相違がある場合には、その相違について職務の内容や人材活用の仕組み等を考慮して、不合理であるものではいけないとしています。
宮田部長:
う~ん。
大熊社労士:
確かにまだ難しいですよね。私は、正社員とパートさんの待遇に差はあってもよいけど、それは仕事内容なども含めて妥当な範囲にしてね、ということで理解しています。
服部社長:
要はパートさんを低賃金のまま、福利厚生もまったく充実させずに働かせるのではなく、正社員とバランスを取りなさいということですね。
大熊社労士:
そのような解釈になるのでしょうね。さて、パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設を確認しておきましょうか。これについては、パートさんを雇入れたときに、事業主が実施する雇用管理の改善措置の内容について、説明しなければならないとなっています。
宮田部長:
雇用管理の改善措置の内容?
大熊社労士:
はい。例えば「賃金制度はどうなっているか?」とか「どのような教育訓練が受けられるのか?」といった事項が具体的には挙げられています。
服部社長:
これまで「パートさんは関係ないから」で済ませているようなこともきちんと説明することが必要になるのですね。
大熊社労士:
はい、おっしゃるとおりです。先ほど挙げたもの意外にも福利厚生施設や正社員転換制度はあるのかと言ったことも含まれます。
宮田部長:
パートさんでもキャリアを積みたい人はいるから、そういう人にとってはとても重要な項目になりますね。
大熊社労士:
そうですね。さて、最後のパートタイム労働者からの相談に対応するための事業主による体制整備の義務の新設ですが、これはパートさんからの相談に応じるために、適切に対応するための必要な体制を整備しなさいということです。
宮田部長:
セクハラとかの相談窓口のようなイメージですかね?
大熊社労士:
そうですね。相談担当者をあらかじめ決めて、「相談があるときにはこちらの窓口に」という案内をしたりすることになります。やはり法令違反やその恐れがあるときには、会社がまずは真摯に向き合う必要があるでしょうから、体制も整えておく必要がありますね。
服部社長:
確かにそうですね。ありがとうございました。
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
こんにちは、大熊です。パートタイム労働法については今後、労働政策審議会に諮った上で、省令または指針等が改正され、改正内容以外について対応が進む予定となっています。
関連blog記事
2014年5月12日「改正パート法(1)正社員と差別的取り扱いが禁止されるパートタイム労働者の拡大」
https://roumu.com/archives/65657745.html
参考リンク厚生労働省「パートタイム労働法の改正について」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1o.html
(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/
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