定年を65歳に引上げると100万円の助成金が支給されます
臨時国会が始まり、補正予算も成立。大熊が注目していた助成金の改正・新設も情報が出てきた。そこで、今回は早速、服部印刷でも説明することにした。
大熊社労士:
こんにちは。相変わらず気温の変化が大きいですね。そして、すっかり秋も深まった印象ですね。
服部社長:
本当にそうですね。最近は、クールビズを10月末までやっている企業が多いかと思いますが、ここ数日の感じからすると長すぎるような印象ですね。
大熊社労士:
確かにそうですね。さて、今日は助成金の案内です。
宮田部長:
確か、今月の初めに助成金のお話をお聞きしたように思いますが、何か変更がありましたか?
大熊社労士:
いえいえ、逆ですね。以前ご案内した内容が確定したのです。その中に、かなり注目されている助成金があるのでそれをご紹介する予定です。「65歳超雇用推進助成金」というものです。
福島さん:
65歳超・・・ということは、従業員を66歳以上まで雇用した場合に何か助成金が支給されるのですか?
大熊社労士:
さすがするどいですね。ただ、少し違うのです。私自身、この助成金の名称に若干「?」と感じているのですが、実は65歳超でなくても65歳(以上)へ定年を引上げたり、希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度の導入をしたり、はたまた、定年の定めの廃止をした場合に支給されるものになります。
宮田部長:
確かにそれだと「65歳以上雇用推進助成金」ですね(笑)。
大熊社労士:
ただ、まぁ、政府としての思いは「65歳超」なのでしょうね。実は、これに似た助成金は以前からあるのですが、66歳以上までの定年の引上げや、65歳以上までの定年引上げ+66歳以上の年齢までの継続雇用制度の導入となっていて、それこそ「65歳超」のイメージでした。
服部社長:
雇う側からすると、特に高年齢者は人によってこれまで積み上げてきたものも、健康状態も体力も、そして仕事に向かう意欲も大きな差が出てくるので、できれば60歳以降は選別できる余地を残しておきたいと思っています。そうなると、いま、大熊さんが説明した内容はなかなか苦しいですよね。
大熊社労士:
確かにおっしゃるとおりですよね。一方で、最近の動向を見ていると人材不足が顕著になっており、また、定年後は継続雇用を希望する人も多く、しかもまだバリバリと現役同様に働くことができる人も多くいる。技能伝承の面から見ても、定年後も可能な限り長く残って欲しいという状況も見ています。
宮田部長:
確かにうちの従業員でもそういう人が多いように感じます。
服部社長:
確かに最近は定年後の働き方のイメージが少し変わってきたように感じるね。
宮田部長:
ところで大熊先生、その助成金はいくらもらえるのですか?
大熊社労士:
はい。この助成金は4パターンあるのですが、その種類と支給額は以下の通りとなっています。
65歳への定年の引上げ 100万円
66歳以上への定年の引上げ又は定年の定めの廃止 120万円
希望者全員を66歳から69歳までのいずれかの年齢まで雇用する継続雇用制度の導入 60万円
希望者全員を70歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度の導入 80万円
宮田部長:
66歳以上への定年の引上げ又は定年の定めの廃止で120万円というのは大きいですね!すごい!あ、でも、これって、最大120万円の支給で、実際は就業規則の整備とか、かかった費用が上限とかというものだったりしませんか?
大熊社労士:
おぉ、確かにそういう疑いはかけたくなるかも知れませんが、そこまでの要件はありません。ただし、いま挙げた制度に関し、労働協約や就業規則を整備していることはもちろんですが、その制度を規定した際に経費を要したことが要件になっています。
福島さん:
経費を要したこと、ですか?
大熊社労士:
はい。例えば、自社で定年を60歳から65歳に書き換えただけでは支給されないことになっています。私ども社労士等に依頼をしていただき、そこで就業規則の変更のための整備費用が発生していなくてはいけません。
服部社長:
なるほど。確かに、定年を65歳以上に引上げるとなると、私が考えただけでも、60歳以降の給与はどうすればいいのか?とか、退職金はどうすればいいのか?といった疑問が出てきますから、単純に就業規則を書き換えるだけだと整合性が取れないところが出てくるように思います。
大熊社労士:
そうですね。ですから、私たち専門家がいるだと思っています。そして、忘れてはいけない要件が一つあります。それが60歳以上の雇用保険の被保険者が1名以上いることです。
宮田部長:
そっか、できたてほやほやの平均年齢25歳の会社で定年を60歳から65歳に引上げても、多分、彼らが定年を迎える頃には定年は65歳以上となっていそうですもんね。
大熊社労士:
そうなんですよ。あ、そしていまの60歳以上の人ですが、1年以上の勤続年数が必要でもあります。こちらも気をつける必要がありますね。
福島さん:
弊社の場合には、既に定年を迎えて継続雇用している人もいるので、いまの要件には該当しそうですね。
服部社長:
確かにそうだね。世の流れは65歳定年・・・かぁ。一度、これを機会に検討だけでもしておこう。
大熊社労士:
そうですね。私もご協力しますので、考えて見ましょう。
宮田部長:
よろしくお願いします!
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
こんにちは、大熊です。今日は「65歳超雇用推進助成金」について説明しました。助成金を受給するためにはこれ以外にもいくつかの要件がありますので、参考リンクより確認の上、手続きを進めるようにしてください。またリーフレットは以下よりダウンロードできますので、こちらも是非ご利用ください。
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51442265.html
関連blog記事
2016年10月3日「10月から補正予算でいくつかの助成金が新設される予定です」
https://roumu.com/archives/65754523.html
参考リンク
厚生労働省「65歳超雇用推進助成金」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139692.html
(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/
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