[改正育児・介護休業法(3)]子の看護休暇・介護休暇が半日単位で取得できるようになります

 前回は助成金の話を入れたが、改正育児・介護休業法の施行が近づいてくるので、大熊は再度、育児・介護休業法の話に戻すこととした。
前回までの記事はこちら
2016年10月24日「介護休業が3回に分割して取得できるようになります」
https://roumu.com/archives/65756970.html
2016年10月17日「育児休業を取得できる有期契約の従業員の範囲が変更になります」
https://roumu.com/archives/65756109.html


福島照美福島さん:
 大熊先生、こんにちは。そういえば、改正育児・介護休業法、子の看護休暇についても改正が行われるのですよね?
大熊社労士:
 ちょうど今日はその話をしようと思っていたところでした。今回、看護休暇と、介護休暇が半日単位で取れるようになる改正がありました。
宮田部長:
 ん?介護休暇は93日まで取れるんですよね?半日?
大熊社労士:
 宮田部長がいま頭に描いているのは「介護休業」ですよね。今回のお話は「介護休暇」です。要介護状態にある家族の介護を行うための休みなのですが、介護休業みたいにベターっと休む必要はないものの、家族の介護のために休む必要がある場合に取れるものです。
宮田部長:
 あぁ、あの、1年に5日取れるってやつですね。休みは基本的に必ず取らせなくてはならないけれども、無給で構わないとかって。
大熊社労士:
 そうですそうです。厳密に言うと、対象家族が1人のときは1年に5日、複数のときは1年に10日となっています。そして、無給でも構わないけれども、取ったことに対して、不利益な取扱いをしてはならないということになっています。
宮田部長宮田部長:
 それと看護休暇が半日単位で取れるということですね。半日ですので、9時から18時の就業時刻の場合、午前の9時から12時と、午後の13時から18時までに分けることになるのですか?
福島さん:
 でも、そうなると、午前3時間、午後5時間となるので、同じ半日でも午後に取った方が長い時間休めるということですよね?無給で給与が控除されてしまうのであれば、午前に取って用事を済ませてできるだけ給与の控除額を減らしたいなんていう人もいるかもしれませんが。
大熊社労士:
 それでは少し整理をしましょう。まず、半日単位ですが、これは「1日の所定労働時間の2分の1」が原則的な考え方です。ですので、先ほどの例ですと、9時からお昼の休憩1時間を挟んで14時までが午前、14時から18時が午後となります。4時間ずつですね。
宮田部長:
 そうなると、ランチに行ってから1時間働いて帰るかぁ。何だか非効率に思えるなぁ。
大熊社労士:
 そうですよね。現状、年次有給休暇を半日単位で認めている企業もあるかと思いますが、先ほどの例で、午前3時間・午後5時間として運用している企業も少なくありません。このようなこともあってか、労使協定を結ぶことにより、「1日の所定労働時間の2分の1」以外の時間で分けることも可能とされています。
宮田部長:
 そこは会社と従業員ともめないようにキチンと取り決めしてね、ってことですね。なるほど。
福島さん:
 大熊先生、ちなみに・・・なのですが、1日の所定労働時間が7時間45分のという会社もありますよね?この場合には「1日の所定労働時間の2分の1」って区切りがとても難しいですよね?
大熊社労士大熊社労士:
 さすが鋭いところを尋ねてきますね!そのようなケースは、実は1時間に満たない時間、つまり45分を1時間に切り上げて、2分の1にすることになります。1日の所定労働時間が7時間45分の場合は、8時間に切り上げられることになります。
宮田部長:
 こりゃまた、それを半分にするとややこしい。
大熊社労士:
 そうなんですよ。9時間から17時45分までが就業時刻の場合、9時から14時、13時45分から17時45分、こんな感じになるのでしょうね。ただ、こちらについても労使協定により「1日の所定労働時間の2分の1」以外の時間数を半日と決めるときは、端数を切り上げなくてもよくなります。つまり、9時から12時、13時から17時45分という感じですね。私自身は従業員にとってもこちらのほうが理解しやすく、運用としても楽なのではないかと想像します。
福島さん:
 確かに大熊先生のいまの例がすっきりしていますよね。何だか勤怠のチェックもそちらのほうがスムーズにいきそうです。
大熊社労士:
 そうですね。労使協定はほかの項目で結ぶこともあるかと思います。その協定に入れ込めばよい内容ですので、ぜひ、実態に合わせて制度を検討することをお薦めします。
宮田部長:
 了解しました!考えてみます。ありがとうございました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。今回は子の看護休暇、介護休暇について取り上げました。これらの休暇は、正社員以外でも一定の要件を満たせば取得できることになっていますが、1日の所定労働時間が4時間以下の場合は1日単位の取得のみとしても問題ありません。なお、1日の所定労働時間が6時間のパートの場合等、1日の所定労働時間が正社員と異なる人の半日がどのように扱われるかも事前に検討しておく必要があります。


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2016年10月24日「介護休業が3回に分割して取得できるようになります」
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2016年10月10日「育児介護休業規程(簡易版)の改正前後の内容が分かるwordファイル」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52115467.html
2016年9月28日「厚生労働省から公開された改正育児・介護休業法「平成28年改正法に関するQ&A」」
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2016年9月6日「改正育児・介護休業法対応の規定例(簡易版)とあらましのダウンロードがスタート」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/2016-09-06.html
2016年8月3日「遂に公開された改正育児・介護休業法の参考資料」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/52110344.html
2016年6月28日「厚労省から改正育児・介護休業法の概要リーフレットが公開されました」
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参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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