残業を避ける傾向が若手従業員に広がっています

 服部印刷では、先日より大学生の短期アルバイトを雇っているが、大熊は、その後のアルバイトの勤務状況を確認しようと服部印刷を訪れた。
以前の関連記事はこちら
2017年7月24日「学生バイトを雇うときにはどのような点に注意が必要ですか?」
https://roumu.com/archives/65781739.html


大熊社労士:
 こんにちは。先日よりアルバイトに来ている2人は、どうですか?何か問題は起きていませんか?
宮田部長:
 はい、2人とも優秀なアルバイトです。工場の責任者は、「いい学生でとても助かっている」と言っていました。
大熊社労士:
 それはよかったです。アルバイトといえ、優秀な人を採用するのは、いまはとても大変なことですからね。
福島さん:
 そうですよね。ブラックバイトと言われないための「アルバイトの労働条件に関する自主点検表」もやってみましたが、我が社は問題なさそうです。
宮田部長:
 我が社は福島さんがきちんと書類関係も整えていてくれているからね。ありがとう、福島さん。
大熊社労士:
 アルバイト2人に残業は発生していますか?
宮田部長:
 先週、特に急ぎの納期があったようで、少し残業してもらったみたいです。
大熊社労士大熊社労士:
 少しぐらいの残業なら問題ありませんが、若い人は残業を敬遠する傾向にありますので、残業が長引いたり、連日続かないように気をつけなければいけませんね。その証拠に、日本生産性本部が行っている2017年新入社員の春の意識調査のなかで、残業に対する意識について新入社員は、次のように回答しています。
「残業は多いが、仕事を通じて自分のキャリア、専門能力が高められる職場」を希望する 26.0%
「残業が少なく、平日でも自分の時間が持て、趣味などに時間が使える職場」を希望する 74.0%
福島さん:
 仕事より、プライベートを優先という考え方ですね。
宮田部長:
 残業が多い会社は嫌われるということですか?
大熊社労士:
 そういうことです。残業があるだけでブラック企業とも言われるようなこともあるようです。もっともこれは、残業が新入社員の成長実感に繋がっていない、仕事の与え方に問題があるとも考えられるのではないでしょうか。
宮田部長宮田部長:
 うーん、我々が新入社員のときは、モーレツに働き、残業をすることで、早く仕事を覚えるという感覚でしたがね。
福島さん:
 久々に聞きました、「モーレツ社員」(笑)
大熊社労士:
 いま政府が進めている働き方改革の実行計画でも、「自分の若い頃は、安月給で無定量・無際限に働いたものだ」と考える方も多数いるかもしれないが、かつての「モーレツ社員」という考え方自体が否定される日本にしていくと言及、長時間労働は、構造的な問題であり、企業文化や取引慣行を見直すことが必要としています。
宮田部長:
 企業文化の見直しですか。私の頭が古いということですね。考え方を変えないといけないですね。
大熊社労士:
 時代も変わっていますから。私も、宮田部長の気持ちは分かります。しかし、これからの時代は、我々の意識改革も必要ですので、一緒に考えていきましょう。また、日本生産性本部の同じ調査で、「若いうちは自ら進んで苦労するぐらいの気持ちがなくてはならないと思いますか。それとも何も好んで苦労することはないと思いますか」という質問では、平成23年度から「好んで苦労することはない」が増え続け、今回は29.3%となり過去最高となりました。その反対に、その間「進んで苦労すべきだ」は約10%減少しています。
宮田部長:
 「若いときの苦労は買ってでもせよ」という考えは通用しないってことですね。
福島さん:
 うーん、私も苦労はしたくないけど、さすがにジェネレーションギャップを感じます。
大熊社労士:
 条件のよい会社があれば、さっさと転職する世代ですから、ますますワークライフバランスの実現に繋がる制度が求められますね。
宮田部長:
 頭が痛いな。
福島照美福島さん:
 いま来てもらっているアルバイトの学生さんに、諸々聞いてみてはどうですか?今後の新入社員の採用にも役立つと思いますし。
宮田部長:
 それがいいですね。まずは、当事者である若者に尋ねてみるのが一番ですね。大学卒業後は、我が社に入社してくれるかも知れないし!?
大熊社労士:
 そう願いたいですね。私も、何か役立ちそうな情報があれば、お伝えします。
宮田部長:
 はい、よろしくお願いします。
>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。どの企業も人材の確保には、頭を悩ませているかと思います。特に若い世代の採用については、企業の価値観を一方的に押し付けてしまうことで、意識のズレを発生させ離職の原因を作ることにもなりかねません。企業が求める人材の円滑な採用を支援し、若者とのマッチング向上を図る目的で、厚生労働省のユースエール認定(若者雇用促進法に基づく認定)制度があります。若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度です。この制度を利用し若い世代の採用を検討してみるのもよいでしょう。


関連blog記事
2017年07月24日「学生バイトを雇うときにはどのような点に注意が必要ですか?」
https://roumu.com/archives/65781739.html

参考リンク
日本生産性本部「2017年度 新入社員 春の意識調査」
http://activity.jpc-net.jp/detail/mdd/activity001505/attached.pdf
厚生労働省「ユースエール認定制度」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000100266.html

(小浜ますみ)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu