育児休業延長の際、育児休業給付金を受給するためにはこれが必要です
前回の訪問時に男性従業員の育児休業の相談があり、大熊は、男性従業員の育児休業の取得は実現しそうかなと思いながら、会社の門をくぐった。
前回のブログ記事はこちら
2017年9月4日「男性の育児休業はいつから取得できますか?」
https://roumu.com/archives/65784233.html
大熊社労士:
こんにちは。その後、育児休業について相談があった男性従業員の方はその後、いかがですか?
福島さん:
前回はありがとうございました。あれから、本人に育児休業について説明をしました。
宮田部長:
私も横で聞いていたのですが、パパ休暇の出生後8週間以内に育児休業が終了した場合、2回目の育児休業が取得できるところに関心が高かったので、そのケースで申し出があるかも知れません。
福島さん:
その男性従業員はパパ休暇のことを知らず、育児休業は1回だけと思っていたようです。奥様とよく相談しますと言っていました。
大熊社労士:
そうですか。確かに育児休業はいろいろな制度がありますから、会社から丁寧に説明しないと従業員はわからないでしょうね。そんな状況もあって、来月1日(2017年10月1日)の法改正では、「育児休業制度等の個別周知」が努力義務化されるのでしょう。これで御社で初めての男性の育児休業者が出た場合は、更に従業員の育児休業制度への関心も高まりそうですね。
福島さん:
育児休業の改正といえば、10月から2歳まで再延長できることになるのですよね。その男性従業員は、奥様も会社で働いていると言っていましたから、例えば、子どもが6ヵ月のときに奥様が職場復帰して、その後男性従業員が育児休業を取得した場合、子どもが1歳になったときに保育園に入れられないなら1歳6ヵ月までの延長、更に1歳6ヵ月で保育園に入れられなかった場合は、2歳まで再延長できるってことになりますね。
宮田部長:
当然男性も、子どもが2歳になるまで育児休業を取得することができるってことですね。
大熊社労士:
現実的にそのようなケースは少ないかも知れませんが、制度的にはそうなります。育児休業を延長する場合、雇用保険の育児休業給付金の対象になることは前回も言いましたが、その場合、保育園に入れられないことの確認書類が必要になることを、忘れないように育児休業取得者に伝えてくださいね。
福島さん:
1歳のときと、1歳6ヵ月のタイミングですよね。
大熊社労士:
はい、具体的には市町村が発行した「保育所入所保留通知書」が必要になるのですが、市町村で申込みの手続きをしていないと、通知書は発行されませんので、注意が必要です。
福島さん:
育児休業を延長したけれど、育児休業給付金がもらえなかった、ということを耳にしたことがあります。
大熊社労士:
はい、こういうことが実際にありました。保育園の申込みは4月~翌年3月の年度で運用されていて、今年4月に入れなかった場合は来年4月に保育園に入れたいと考える人が多く、来年4月に入れる手続きのことに集中してしまい、子どもが1歳のときの入園申込みをしていなかったということがありました。申込みをしていない場合は、市町村から「保育所入所保留通知書」は発行されません。
福島さん:
確かに、待機児童が多いので、親からすると自分の子どもがいつ保育園に入れるかということをまず考えますから、1歳のときの申込みがおろそかになることが考えられますね。「保育所入所保留通知書」がないと、育児休業給付金はもらえないですからね。
宮田部長:
う~ん、育児休業給付金は、休業前賃金の67%か50%ですから、給与の半分以上が、仮に1歳~2歳になるまでもらえなかったとすると、大変なことですね。
大熊社労士:
そうですね。育児休業者にとっては重要なことですから、育児休業を延長する1歳のときと1歳6ヵ月のときには、その書類が必要であることを伝えてください。
宮田部長:
育児休業制度と育児休業給付金の流れ、何が必要となるのか、書面で渡した方がいいですね。
福島さん:
わかりました。2歳まで育児休業再延長となりますし、きちんと案内を作成します。
大熊社労士:
私も、アドバイスします。
福島さん: 先生、よろしくお願いします。
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
こんにちは、大熊です。前述したとおり、育児休業は最大2歳まで延長できるようになりますが、雇用保険の育児休業給付金を受給するためには、1歳のとき、1歳6ヵ月のときに、保育園に入れないという「保育所入所保留通知書」が必要となります。保育園の申込み期限は、入所希望月の前々月の末日や、前月の15日など、市町村によって異なり、また4月入所の場合は申込みが殺到することから、前年の秋頃に締切る市町村が多く、申込み期限も市町村によって異なることを、育児休業取得者へ伝えるようにしましょう。
関連blog記事
2017年9月4日「男性の育児休業はいつから取得できますか?」
https://roumu.com/archives/65784233.html
参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/34.html
厚生労働省「育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて」
https://www.hellowork.go.jp/dbps_data/_material_/localhost/doc/ikujikyugyou.pdf
(小浜ますみ)
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