20.7%の企業が「名ばかり管理職問題あり」と回答

20.7%の企業が「名ばかり管理職問題あり」と回答 9月10日のブログ記事「注目の「名ばかり管理職」新通達のポイント」では、名ばかり管理職問題の対応のため厚生労働省が発信した通達の概要について取り上げました。その中で、「経営者よりの内容になっているだけに、今後、労働組合などからの反発は必至」と記述しましたが、やはりそのような展開になってきており、連合も「管理監督者のハードルが下がってしまうのではないか、との懸念もされている。撤回または再度の発出をお願いしたい」と厚生労働省に対し、要請を行うなどの事態を招いています。


 このように名ばかり管理職問題はまだまだ大きな話題になっていますが、昨日、労務行政研究所は「“名ばかり管理職”の現状―2008年度労働時間総合調査」という資料を発表しました。これによれば、「時間外手当を支給していない役職者の中に、管理監督者の要件を満たしていない者がおり、問題視している」という回答が20.7%に上っています。更に、この管理監督者の判断において問題視されている点については、「管理監督者扱いだが、組織運営や採用等に関する権限、裁量が与えられていない」という回答が、85.4%にも達し、他の「管理監督者扱いだが、出退勤等の裁量が与えられていない」(31.3%)、「管理監督者扱いだが、一般社員より相応に高水準な給与等が支給されていない」(31.3%)を圧倒しています(画像はクリックして拡大)。特に従業員1,000人以上の企業では、100%の企業が「管理監督者扱いだが、組織運営や採用等に関する権限、裁量が与えられていない」と回答するなど、大企業における名ばかり管理職問題解決の難しさが露呈しています。


 なお、厚生労働省は先の連合の要請に対し、「指摘も踏まえて、誤解を生んでいる別添の表をつくり変えることをはじめとして必要な対応を鋭意検討しているところである」との見解を示していることから、更なる通達の発出なども予想されます。



関連blog記事
2008年9月10日「注目の「名ばかり管理職」新通達のポイント」
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/archives/51407244.html

2008年5月26日「「名ばかり管理職」問題のその後」
https://roumu.com
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2008年2月8日「大手ハンバーガーチェーン店長の残業手当支払判決が与える影響」
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2007年12月7日「対応が遅れる労働時間の適正な把握と懸念される調査の増加」
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2007年10月31日「明日から賃金不払残業解消キャンペーンがスタート~今年は過重労働解消も目的に追加」
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2007年10月7日「平成18年度のサービス残業是正支払額は1,679社で227億円」
https://roumu.com
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参考リンク
労務行政研究所「“名ばかり管理職”の現状―2008年度労働時間総合調査[pdf]」
https://www.rosei.or.jp/contents/detail/9832
厚生労働省「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について(基発第0909001号 平成20年9月9日)」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/h0909-2.html
連合「「管理監督者の新通達」について、厚生労働省に要請」
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/rengonews/2008/20080930_1222754682.html
連合「「管理監督者の新通達」に関する談話」
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/danwa/2008/20080929_1222678960.html


(大津章敬)


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