閣議決定された経済対策に基づく新卒者雇用に関する緊急対策
2010年1月19日のブログ記事「調査開始以来最悪の水準となった大卒の就職内定率」でも取り上げたとおり、新卒者の内定率の低さは社会問題となっています。またこの状況は来春卒業の新卒者についても続くことが予想されることから、厚生労働省は、先日閣議決定された「経済対策」に基づき、新卒者に対する更なる就職支援の実施を発表しました。
臨床心理士等による心理的サポートの実施
予備費使用の閣議決定後実施
ジョブサポーター倍増によるきめ細かな支援の実施
8月31日から増員開始
※ジョブサポーターとは?
ハローワークの窓口において、また、高校・大学等に出向き、学生・生徒への就職活動の相談、職業適性検査の実施、就職活動についてのセミナーの実施などの就職支援を行う。また、企業を訪問しての求人開拓、地域の中小企業と新卒者等とのマッチングも実施する。
各都道府県に新卒者専門の「新卒応援ハローワーク」を設置
予備費使用の閣議決定後実施
※「新卒応援ハローワーク」とは?
大学等の卒業年次の在学生及び卒業後3年以内の既卒者等を対象に、求人情報の提供、職業相談、職業紹介をはじめ、就職までの一環した担当者制の支援、臨床心理士による心理的サポート、「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」や「3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金」の活用促進、短期のインターンシップ機会の提供を実施する。
新卒者就職応援本部の設置
予備費使用の閣議決定後実施
青少年雇用機会確保指針改正により、「卒業後3年間は新卒扱い」と盛り込み
改正内容について検討中。雇用対策法に基づく「青少年雇用機会確保指針」を改正し、卒業後3年間は新卒として応募できるようにすることを盛り込み、既卒者の新卒枠での採用が促進されるよう経済団体等に要請する。
既卒者を対象にトライアル雇用を行う企業への奨励金を創設
予備費使用の閣議決定後実施。卒業後3年以内の既卒者を正規雇用へ向けて育成するため、有期で雇用し、その後正規雇用へ移行させる事業主に対し、ハローワークにおいて「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」(有期雇用(原則3か月)1人月10万円、正規雇用移行から3か月後に50万円)を支給する。
未内定者・既卒者を対象とした短期のインターンシップ機会の提供
予備費使用の閣議決定後実施
新卒枠で既卒者を採用する企業への奨励金創設
予備費使用の閣議決定後実施。卒業後3年以内の既卒者も対象とする新卒求人を提出し、既卒者を正規雇用する事業主に対し、ハローワークにおいて「3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金」(正規雇用から6か月経過後に100万円支給)を支給する。
新卒者の枠を国が定めるというのも奇妙な印象を受けますが、現実的にはまたしてもいくつかの助成金制度が出てくるようです。現在の雇用問題を解決するだけのパワーがあるかどうかはともかくとしても、利用できる企業においては機会損失をしないようにその内容をチェックしておきたいものです。
関連blog記事
2010年5月25日「経産省と日本商工会議所が開始する中小企業の人材採用支援プロジェクト」
https://roumu.com
/archives/51739907.html
2010年4月29日「6割の新入社員が内定社数1社で就職へ」
https://roumu.com
/archives/51727416.html
2010年3月10日「文部科学省から出された新規学校卒業者採用に関する要請」
https://roumu.com
/archives/51705926.html
2010年1月19日「調査開始以来最悪の水準となった大卒の就職内定率」
https://roumu.com
/archives/51684970.html
参考リンク
厚生労働省「新卒者支援施策の更なる充実について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000r601.html
(大津章敬)
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