経産省と日本商工会議所が開始する中小企業の人材採用支援プロジェクト

DREAM-MATCH PROJECT 各経済団体から発表される夏季賞与額の調査を見ても、昨年と比較しわずかながら増加という結果が出ており、大企業の業績については最悪期を脱しつつあるという感を受けます。しかし一方で、2010年5月5日のブログ記事「中小では高止まりするも大企業では減少が著しい雇用調整助成金の対象者数」で取り上げたとおり、中小企業では雇用調整助成金(中小企業緊急雇用助成金)の申請件数は高止まりしており、状況の改善にはまだ時間がかかりそうです。


 このような不況下では、新卒学卒者や既卒者(以下、「新卒者等」という)の内定率の低下が大きな問題となっていますが、その背景にはミスマッチが大きくなっているという実態が見られます。このような不況下であるからこそ優秀な人材の採用を目指す中小企業がある一方で、新卒者等は安定した大企業に就職を希望するため、就職活動が激化し、結果として内定率がなかなか改善しないというわけです。


 このような状況を少しでも改善するために経済産業省が5月18日から「DREAM-MATCH PROJECT(ドリーム・マッチ プロジェクト)」を開始しました。これは経済産業省の補助を受け、中小企業の人材確保・育成支援を行っている日本商工会議所が、新卒者等の採用に苦戦する中小企業と学生等をマッチングさせるプロジェクトです。具体的には、求人開拓、企業の魅力発掘等を日本商工会議所が採用支援会社に委託し、求人企業の発掘、採用活動の支援、求人企業、学生向けセミナーの開催を実施し中小企業等による求人と求職のマッチングを図るというものです。すでに専用のサイトがオープンしており、新卒者等のプレ会員登録および支援を希望する企業が詳細資料を請求できるようになっています。今後の支援の流れとしては、企業が求人情報と面談予定日をWEBに登録し、委託先が学生との面談を設定するほか、学生・企業に、サービスの活用方法等のアドバイスをメールや電話で行うことになっています。8月以降には全国7ヶ所(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡)で合同企業説明会が開催され、本格的な活動が行われます。


 過去にも何度も繰り返してきたとおり、景気の回復期には中小企業が新卒者等を採用するのはなかなか難しい状況が見られます。いまのような状況だからこそ、優秀な新卒者を採用しようと考える企業にとっては是非活用したいプロジェクトではないでしょうか。



関連blog記事
2010年5月20日「日本経団連調査による大企業夏季一時金の第一回集計結果は1.51%プラスの790,468円」
https://roumu.com
/archives/51738380.html

2010年5月16日「連合調査による夏季賞与の平均回答額は633,966円と微増」
https://roumu.com
/archives/51736763.html

2010年5月14日「今年の夏季賞与 東証一部上場企業の平均は前年比2.4%プラスの662,832円」
https://roumu.com
/archives/51734831.html

2010年5月5日「中小では高止まりするも大企業では減少が著しい雇用調整助成金の対象者数」
https://roumu.com
/archives/51731584.html


参考リンク
経済産業省「中小企業採用力強化事業~DREAM-MATCH PROJECT~の開始について」
http://www.meti.go.jp/press/20100518002/20100518002.html
DREAM-MATCH PROJECT(ドリーム・マッチ プロジェクト)
http://dream-match.jp


(宮武貴美)

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