所得税法改正により賃金規程見直しが求められる家族手当の取り扱い
このブログでは2010年11月30日のブログ記事「源泉所得税計算で注意が必要となる平成23年の給与計算」をはじめとして、来年の源泉所得税計算上の注意点を取り上げてきました。この変更は、人事労務管理面の家族手当の支給要件の変更も必要になるケースがありますので、今日はこれを取り上げておきましょう。
各種調査によれば家族手当の採用率は8割近くにもなると言われますが、その支給対象者の要件については一般的に以下のように分類することができます。
収入(所得)要件を設けていない
健康保険法上の被扶養者を対象とする
所得税法上の控除対象の扶養親族を対象とする
その他
このうち、もっとも一般的に見られるのがの要件ですが、平成23年より16歳未満の扶養親族に対する扶養控除が廃止されることに伴い、賃金規程の規定を変更する必要が出てきています。つまり16歳未満については扶養親族であったとしても原則的に「所得税法上の控除対象」とならないため、現在の規定のままでは、16歳未満の扶養親族に家族手当が支給されないことになってしまいます。
よって平成23年以降も従来と同様に16歳未満の扶養親族に家族手当を支給する場合には、16歳未満の子どもについて「控除対象」と言う文言を削除する必要があります。なお、「扶養親族」とは「所得者と生計を一にする親族(配偶者、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます)で、合計所得金額が38万円以下の人」と定義されています。 家族手当を支給している企業は、来年1月までに賃金規程を確認の上、必要に応じ対象となる家族の範囲を変更する等の対応が必要になります。
関連blog記事
2010年11月30日「源泉所得税計算で注意が必要となる平成23年の給与計算」
https://roumu.com
/archives/51803329.html
2010年4月26日「子ども手当の開始に伴い、平成23年から適用となる年齢別扶養控除」
https://roumu.com
/archives/51727284.html
2006年3月6日「家族手当改革に見られる一時金化の動き」
https://roumu.com
/archives/50426386.html
参考リンク
国税庁「平成22年分 年末調整のしかた」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2010/01.htm
(宮武貴美)
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