新型コロナウイルスの対応で雇用調整助成金の特例措置が大幅に拡大されました

 新型コロナウイルス感染症の問題が深刻化しており、企業経営にも大きな影響が出ています。従業員の休業を行うケースも増加が見込まれますが、厚生労働省では先日より特例措置を講じていた雇用調整助成金について、更なる対象事業主拡大を発表しました。これにより格段に活用できるケースが増加すると思われます。
(1)特例措置の対象事業主の範囲の拡大
 特例措置の対象となる事業主が、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主とされ、大幅に拡大されます。
[現行の対象事業主の範囲]
 日本・中国間の人の往来の急減により影響を受ける事業主であって、中国(人)関係の売上高や客数、件数が全売上高等の一定割合(10%)以上である事業主 
[拡大後の対象事業主の範囲]
 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主
※これにより、日本人観光客の減少の影響を受ける観光関連産業や、部品の調達・供給等の停滞の影響を受ける製造業なども幅広く特例措置の対象となります。

(2)特例措置の内容
 休業等の初日が、2020年1月24日から2020年7月23日までの場合に適用されます。
1 休業等計画届の事後提出が可能とされます。
 通常、助成対象となる休業等を行うにあたり、事前に計画届の提出が必要ですが、2020年1月24日以降に初回の休業等がある計画届については、2020年5月31日までに提出すれば、休業等の前に提出されたものとされます。
2 生産指標の確認対象期間が3か月から1か月に短縮されます。
 最近1か月の販売量、売上高等の事業活動を示す指標(生産指標)が、前年同期に比べ10%以上減少していれば、生産指標の要件を満たします。
3 最近3か月の雇用指標が対前年比で増加していても助成対象とされます。
 通常、雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者の雇用量を示す雇用指標の最近3か月の平均値が、前年同期比で一定程度増加している場合は助成対象となりませんが、その要件が撤廃されます。
4 事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象とされます。
 2020年1月24日時点で事業所設置後1年未満の事業主については、生産指標を令和元年12月の指標と比較します。

 今回の対応で多くの企業で雇用調整助成金の特例を適用できるようになります。従業員の休業を検討する場合には、要件に該当しないかチェックするようにしましょう。


関連記事
2020年2月28日「新型コロナウイルスに関する経産省等の支援策」
https://roumu.com/archives/101081.html
2020年2月17日「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例がスタート」
https://roumu.com/archives/100938.html

参考リンク
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置の対象事業主の範囲の拡大について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09852.html?fbclid=IwAR0hgp9beUxFBWBlNl6YKq8cIMwljv4VjYOm77ctAg-rAWXP3JncUWe2qgo
厚生労働省「雇用調整助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

(大津章敬)