新型コロナ対策で週休3日制の導入が検討されているのですが?

 緊急事態宣言が39県で解除され、最初の週末。天気にも恵まれたため、外出をする人が多くなり、気の緩みによる再拡大を心配する大熊であった。


大熊社労士
 おはようござます!
服部社長服部社長
 おはようございます。この数カ月、新型コロナウイルスの話ばかりですが、昨日は新規感染者数も非常に少なく、徐々に収束に向けた雰囲気が出てきましたね。もっともこの週末は各地とも結構な人出だったようですから、また2週間後くらいに急増とならなければよいのですが。
大熊社労士
 本当にそうですね。まあ、でも昨日は抜けるような快晴でしたからね。私も日焼け止めを塗って、ウォーキングをしてきましたよ。できるだけ人がいないようなところを歩きましたが、久し振りに運動ができ、気持ちよかったです。
福島照美福島さん
 大熊先生、本当にちゃんと日焼け止め塗りました?結構、日焼けされていますよ。江ノ島でサーフィンしてきましたと言っても分からないくらいですよ。
大熊社労士
 あれ、おかしいな。結構塗ったはずなんですけど。結構暑かったから、汗で流れてしまったのかもですね。さてさて、今日は宮田部長からご質問があるということでしたが。
宮田部長
 はい、先日、新型コロナウイルスの出勤対策で、週休3日制の導入が提言されているという記事を新聞で見たのですが、そんなことができるのかなと思いまして。
大熊社労士
 それは先日公表された経団連の「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」の中で提言されているものです。今後、経済活動を正常化していく中で、感染防止を図るためにはテレワークなどの実施を求めているのですが、製造現場など、職種によってはテレワークが難しい場合もあります。
宮田部長宮田部長
 それは間違いないですね。当社でも管理部門や営業部門はテレワークができたとしても、工場でモノづくりを担当している社員は工場に来て、初めて仕事になりますからね。
大熊社労士
 そうだと思います。しかし、感染防止を図るためには職場での三密対策を進めると共に、出勤頻度を減らし、通勤時の感染を防止することも重要であると考えられます。そこで出てきたのが、週休3日制なのです。
服部社長
 非常単純な話として週休3日にして、週5回の通勤を4回に減らせば、当然、出勤頻度は80%になり、公共交通機関の混雑もいくらか緩和され、感染リスクも低減しますね。当然のこととして。でもその増加する1日の休業はどのように扱うのですか?休業手当を支給して、雇用調整助成金の申請をするということでしょうか?
大熊社労士大熊社労士
 はい、もっとも単純なのはそのやり方ですね。受注量が落ちていて、生産調整を行う必要があるのであれば、それが基本となるでしょう。しかし、この場合、休業手当の水準をどうするかという問題はありますが、従業員の給与も減ってしまうことになります。また、受注量が減っていないとすれば、それだけ稼働率が落ちてしまい、生産が追い付かないという問題があります。
服部社長
 そうですね。例えば当社の場合、確かにいくらか受注は落ちていますが、いまところ、当面の生産量はそれほど落ちていませんので、8時間×4日しか勤務してもらわないということですと、現場が回らないと思います。
大熊社労士
 そういった場合には、もう1つのやり方があります。それは、1日の所定労働時間を10時間に延長し、週4日勤務とすることで、週40時間はキープしながら、週休3日制を導入するという方法です。
福島さん
 あ、分かりました。それって変形労働時間制を使うのですよね?
大熊社労士
 さすが福島さん、鋭いですね。変形労働時間制にはいくつかの種類がありますが、一番基本となる1カ月単位の変形労働時間制で説明しましょう。日本の労働時間制度は1日8時間、週40時間が原則ですよね。つまり、1日8時間、週40時間を超えると時間外労働になるのです。しかし、変形労働時間制を採用すると、ある日に1日8時間を超えていたり、ある週に週40時間を超えるカレンダーになっていたとしても、1カ月を平均して、週40時間に収まっていれば、時間外労働にはならないという制度です。
服部社長
 そうですね。それは理解しています。
大熊社労士
 これでよくあるのは5月のように長期休業があるようなケースです。5月は前半にゴールデンウィークがあり、稼働日が少なくなりがちです。よって、後半の土曜日は出勤日とし、稼働日を確保することがよくあります。後半の土曜日出勤がある週だけを見ると、1日8時間×週6日=48時間となり、週40時間を超えてしまうのですが、変形労働時間制を採用していれば、ゴールデンウィークの祝日と平均化され、週40時間に収まり、セーフとなる訳です。
服部社長
 なるほど。ということは今回の件は、1日10時間としても、週40時間に収まるように週休3日にすることで、週40時間制をクリアできるということですね。
大熊社労士
 そのとおりです!8時間×5日=40時間ではなく、10時間×4日=40時間ということになり、給与を満額支払い、稼働率もキープしながら、週休3日を実現できるのです。
服部社長
 なるほど、結構単純な話ですね。当社でそうした働き方ができるか検討してみようか。宮田部長、案を取りまとめてもらえるかな?
宮田部長
 分かりました。福島さんと協力して、現実的な勤務カレンダーを作成してみます。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 おはようございます。大熊です。今回は変更労働時間制を活用した週休3日制の導入方法について取り上げました。この10時間×4日という勤務体系は既に東芝が導入すると発表しており、今後、徐々に広まっていくのではないかと予想されています。テレワークについては春以降、一気に導入が進みましたが、それが現実的ではない職種については、新たな感染予防策として週休3日制の導入を検討しても良いでしょう。


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2020年5月16日「経団連 週休3日制導入を含む「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を公表」
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2020年5月9日「YouTubeビデオ「新型コロナウイルス対策で急増?週休3日正社員制度構築のポイント(2020年5月9日収録)」を公開」
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2020年5月6日「2020年5月7日から新型コロナウイルスに関連して母性健康管理措置の指針が改正に」
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参考リンク
経団連「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/040.html

(大津章敬)