新型コロナによる休業の場合に社会保険料を翌月から改定できる特例が創設されました

 またじわじわと新型コロナの感染者が増加していることを心配している大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます。
服部社長服部社長
 おはようございます、大熊さん。今日は暑いですね。朝からこんなに暑いとなると、昼過ぎには何度まで上昇しているかという感じですね。
大熊社労士
 本当にそうですね。外出がつらい時季になってきますね。さてさて、今日はまたしても新型コロナに関する特例が公表されましたのでお伝えしたいと思います。御社では一部の従業員で休業が発生していらっしゃいましたよね。
宮田部長宮田部長
 はい、全体としてはそれほど多くないのですが、一部の特定のお客様の仕事をほぼ専属のような感じで受けている部門でトータル10日ほどの休業が発生しました。
大熊社労士
 はい、そのように新型コロナウイルス感染症の影響により休業し、給与が著しく下がった者の社会保険料について、一定の条件に該当する場合は、その翌月から変更できるという特例が設けられました。
福島照美福島さん
 それって随時改定(月額変更)に関する特例ということですか?随時改定の場合って、昇降給等の固定的賃金の変動があった月から3ヶ月間に支給された給与に基づいて、その翌月から変更になりますよね。それが1カ月だけで判断し、翌月に改定できるということなんですよね?
大熊社労士
 はい、そのとおりです。具体的に対象となる被保険者は、以下のすべてに該当する者になります。
(1)新型コロナウイルス感染症の影響による休業(時間単位を含む)があったことにより、2020年4月から7月までの間に、給与が著しく低下した月が生じている
(2)著しく給与が低下した月に支払われた給与の総額1ヶ月分が、既に設定されている標準報酬月額に比べて2等級以上下がっている
(3)この特例措置による改定内容に被保険者本人が書面により同意している
福島さん
 そんな特例ができたのですね。ちなみに固定的賃金の変動という要件がなかったのですが、固定的賃金が下がっていなくても対象となるのですか?
大熊社労士大熊社労士
 はい、そうなのです。文字通り特例的取り扱いですね。ただ、従業員本人の同意を書面で求めることが必要とされています。というのも、標準報酬月額に基づき、傷病手当金、出産手当金、更には年金の額が算出されることになりますので、この月額変更で標準報酬が下がることによるデメリットもあるからなのです。
福島さん
 なるほど。確かにそうですね。社長、対応はどうすればよいですか?
服部社長
 対象者には確認すべきじゃないかな。社会保険料が軽減されて助かる場合が多い訳だから。ただ、算定基礎届をもうすぐ提出するように準備を進めていたのではなかったかな。
福島さん
 そうなのです。いまから説明して、書面で同意をもらってとなると結構大変だなとは思っています。
大熊社労士
 そうですよね。今回は事後で月額変更を行い、遡及することもできます。現実的には、まずは通常通り算定を行い、その後、遡及適用するか本人に確認して対応すればよいと思います。保険料の返金などが少し煩雑ですけどね。
服部社長
 それが現実的ですね。福島さん、それでいいかな?
福島さん
 承知しました。それでは準備だけは進めておきます!

>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 おはようございます。大熊です。今回は先週日本年金機構から公表された新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合における標準報酬月額の特例改定について取り上げました。実務家としては「もう少し早くアナウンスしてくれれば…」と思うところではありますが、休業で収入が減少している従業員にとっては助かる内容ですので、しっかりアナウンスしていきましょう。


関連記事
2020年6月26日「休業開始翌月から月額変更が可能に~新型コロナ 随時改定の特例が新設」
https://roumu.com/archives/103544.html
2020年6月26日「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合 健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額を翌月から改定 することが可能です」
https://roumu.com/archives/103539.html

参考リンク
日本年金機構「【事業主の皆さまへ】新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合における標準報酬月額の特例改定のご案内」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/0625.html

(大津章敬)