「いじめ・嫌がらせ」がダントツのトップ~令和元年度の民事上の個別労働紛争

 先日、厚生労働省から「令和元年度個別労働紛争解決制度の施行状況」が公開されました。この「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、早期に解決を図るための制度で、「総合労働相談」、都道府県労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法があります。

 昨年度までの調査結果と比較すると、令和元年度の総合労働相談件数は118万8,340件で、12年連続で100万件を超え、高止まりした状況が続いています。そのうち、労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(民事上の個別労働紛争)の相談件数は27万9,210件となっています。

 この民事上の個別労働紛争の主な相談内容を確認すると、以下のようになっています(※ ( )内は対前年度比)。

 ・いじめ・嫌がらせ 87,570件(+5.8%)
 ・解雇 34,561件(+6.0%)
 ・自己都合退職 40,081件(-2.9%)
 ・労働条件の引下げ 29,258件(+8.0%)
 ・退職勧奨 22,752件(+7.7%)

 いじめ・嫌がらせはこの10年間、急激に増加し労働者の意識がん高まっていることが想像され、また、職場での放置できない問題となっています。6月1日にはパワーハラスメントの防止措置が義務化されたこともあり、更に関心が高まることが予想されます。職場環境の整備を進め、パワーハラスメントの発生防止に努めるとともに、万が一、事象が発生した場合でも、まずは社内で解決できるような仕組みを作る必要があります。


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参考リンク
厚生労働省「「令和元年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000213219_00003.html

(宮武貴美)