育休中の社会保険料免除の仕組みが変わります。

 育児・介護休業法の改正とともに、健康保険法および厚生年金保険法が改正され、育児休業中の社会保険料の免除について変更される。大熊は、今回、その内容を服部印刷で説明する予定とした。


大熊社労士大熊社労士
 こんにちは。先日までの説明で、改正育児・介護休業法の説明は一区切りになりますが、今日は今回の法改正とともに見直しさせる育児休業中の社会保険料の徴収の免除についてお話しましょう。
福島さん
 育児休業中は社会保険料が不要になるのでありがたいって話ですね~。何が変わるのですか?
大熊社労士
 かなり複雑になるので、まずは最初に切り分けることにしましょう。社会保険料は、①給与から控除する毎月の社会保険料と、②賞与から控除する賞与の社会保険料がありますよね。
宮田部長
 毎月の社会保険料は標準報酬月額から算出して、賞与の社会保険料は支給額の1,000円未満を切り捨てて料率を乗じて算出しますよね。
大熊社労士
 お、素晴らしい!正解です!
宮田部長
 これは福島さんが育児休業をしたときに、福島さんから「間違えないでくださいね」と念押しをされたものですから、記憶が鮮明なのです。
福島さん
 そうでしたっけ!?忘れてしまいました(笑)。
大熊社労士
 現行の社会保険料の免除は、ご存じの通り、月末に育児休業を取得していると、その月の社会保険料と、その月に支払われる賞与の社会保険料が免除されますよね。
福島さん
 はい、月末時点を確認して処理をするようにしています。
大熊社労士
 その取扱いについて、短期間の育児休業の取得であっても社会保険料が免除となるようにするため、現状の月末時点というのに加え、育児休業の開始日と終了日が同じ月の場合で14日以上の育児休業を取得しているときにも社会保険料が免除になるのです。
福島さん
 ということは、例えば7月5日から7月20日まで育児休業を取得した従業員は、7月分の給与の社会保険料が免除になるということですね。
宮田部長
 そっか~、2週間以上であれば社会保険料を免除してあげようっていうのはいいですね。
大熊社労士
 ポイントは、給与計算の社会保険料の免除の仕組みであること、そして、現状の月末時点に加えた仕組みであること、14日以上の免除は同月内に育児休業の開始日と終了日がある際の取扱いでことです。
宮田部長
 なるほど、「14日以上」だけとか覚えていると失敗しそう・・・。
大熊社労士
 おっしゃるとおりです!知識をしっかりとブラッシュアップしていきましょうね。
福島照美福島さん
 これまでは月末1日だけ育児休業を取れば社会保険料が免除になる一方で、月中に育児休業を取っても社会保険料が免除されないのは、なんだか不公平と感じていたのですよね。
大熊社労士
 やはりそのように感じていたのですね。
福島さん
 はい。インターネットの記事で、「ボーナス月の月末に育児休業を取るとオトク!」と書いてあったものもあり、なんとなくモヤモヤとしていました。
宮田部長
 ん?ボーナスが支給される月に育児休業を取るとオトクなの?
大熊社労士
 最初の方でご説明した通り、月末に育児休業を取得すると、その月に支払われる賞与の社会保険料も免除されます。比較的長期間の育児休業を取得するのであれば、違和感はないのですが、逆に賞与が支給される月の月末1日だけ育児休業を取得することで、社会保険料の免除を受ける人が出てきたのです。
宮田部長宮田部長
 そっかぁ、6月に賞与が30万円支払われたとして、6月30日だけ育児休業を取ることで・・・
福島さん
 賞与の保険料だけでざっくりと42,000円程度の負担がなくなります(従業員負担分の社会保険料を14%で計算)。
宮田部長
 そっかぁ、確かに月1日だけ育児休業を取りたくなる気持ちもわかりますね。
大熊社労士
 まぁ、育児にお金がかかるようになるというのもあるでしょうからね。ただ、育児休業が本来の目的から逸脱して取得されるというのは問題ですよね。
福島さん
 はい、そうだと思っています。
大熊社労士
 そのため、賞与の社会保険料については、今回の改正で1ヶ月超の育児休業を取得した人に限り、免除の対象とされました。
宮田部長
 1ヶ月超・・・ややこしいですね。
大熊社労士
 はい、今後は育児休業の取得期間をしっかり把握して社会保険料の免除に関する処理を進めていかなければなりません。施行日は2022年10月ですのでよろしくお願いいたします。
福島さん
 承知しました。ありがとうございました。

>>>to be continued
大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。改正育児・介護休業法により、出生時育児休業の制度ができ、また、育児休業の分割取得が可能となりました。育児休業取得日や取得期間の管理が重要となりますので、施行までに管理方法を考えておく必要があるでしょう。
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2021年6月26日
「育児休業の制度について研修の実施や相談窓口の設置が必要になるのですか?」
https://roumu.com/archives/107997.html
2021年6月21日「契約社員も育児休業や介護休業が取りやすくなります」
https://roumu.com/archives/107923.html
2021年6月14日「男性版産休(出生時育児休業)とはどういうものですか?」
https://roumu.com/archives/107923.html
参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
厚生労働省「第204回国会(令和3年常会)提出法律案」
https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/204.html
(宮武貴美)