賞与計算における社会保険料取扱い注意事項1 標準賞与額変更・支給月喪失者の取り扱いなど

 6月となり、住民税の変更や社会保険算定基礎届の作成準備、賞与計算などの処理に追われている総務担当者のみなさんも大勢いらっしゃるのではないでしょうか。今回は賞与計算における社会保険計算について、特に実務上間違えやすいポイントについて解説します。


健康保険の標準賞与額の上限変更
 平成19年4月の健康保険法改正に伴い、健康保険の標準賞与額の上限が変更になっています。各被保険者の賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てした標準賞与額は、平成19年3月まで支給1回あたり200万円が上限とされてきました。今回、この上限額が年度累計(当年4月1日から翌年3月31日まで)で540万円という取り扱いに変更されています。なお、厚生年金保険の標準賞与額の上限は従来どおり支給1回につき150万円であり、変更ありません。実務的には混乱しやすいポイントですので、ご注意ください。


賞与支給月に資格喪失する被保険者の社会保険料取扱い
 原則として、社会保険の資格喪失日が属する月は社会保険料が不要となります。賞与の社会保険料も同様の取扱いとなるため、退職予定者に賞与を支給する場合は注意が必要になります。
《例1》
 退職日  :6月20日
 資格喪失日:6月21日
 賞与支給日:6月15日 ← 社会保険料は不要
《例2》
 退職日  :6月30日
 資格喪失日:7月 1日
 賞与支給日:6月15日 ← 社会保険料が必要


育児休業等取得者に支給する社会保険料取扱い
 育児休業等取得者については、育児休業等取得者申出書を提出することにより、育児休業等を開始した日の属する月から終了する日の翌日が属する日の前月まで、被保険者負担分・事業主負担分ともに社会保険料が免除されます。これは毎月の社会保険料のみでなく、賞与についても同様の取扱いとなりますので、育児休業等取得中の被保険者のみならず、産後休暇中の被保険者や育児休業等終了間近の被保険者についても注意が必要になるでしょう。
《例3》
 出産日     :4月24日
 育児休業等開始日:6月21日
 賞与支給日   :6月15日 ← 社会保険料は不要
《例4》
 育児休業等終了日:6月21日
 賞与支給日   :6月15日 ← 社会保険料が必要


 次回は、賞与計算における社会保険料取扱い注意事項2として、転職者等における注意点を取り上げます。




関連blog記事
2007年6月12日「賞与計算における社会保険料取扱い注意事項2 健康保険標準賞与額累計申出書」
https://roumu.com
/archives/50989909.html

2007年4月10日「[平成19年健康保険改正]標準賞与額の上限額改正に伴う賞与支給時の健康保険料に関する注意点」
https://roumu.com
/archives/50940442.html

2006年10月4日「健康保険法改正その6「標準賞与額の上限変更」」
https://roumu.com
/archives/50747124.html


参考リンク
社会保険庁「政府管掌健康保険における標準賞与額の取扱いについて」
http://www.sia.go.jp/topics/2006/n1004_2.htm
千葉社会保険事務局「健康保険標準賞与額の上限の改正について」
http://www.sia.go.jp/~chiba/kennposyouyonojyiugenngaiseinituite.html
愛知社会保険事務局「社会保険あいち3月号」
http://www.sia.go.jp/~aichi/kouhousi/s1903.pdf
社会保険庁「医療保険制度が改正されました」
http://www.sia.go.jp/topics/2006/n1004.html#19year


(宮武貴美)


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