賞与計算では育児休業取得者の所得税に注意が必要です!

 先日、賞与計算における社会保険料取扱い注意事項を当ブログで取り上げたところ、所得税について気になることがあるという質問をいただきました。そこで今日は賞与計算における所得税の特例を取り上げましょう。



【質問】
 当社では給与計算ソフトを導入しています。先日、賞与計算を行なっていたところ、今年の4月から育児休業を取得している社員の所得税がゼロになっていました。賞与の算定期間は12月1日から5月31日、扶養親族等なし、支給額は30万円です。本当にゼロで良いのでしょうか?


【回答】
 育児休業中の社員とのことですので、支給額によっては所得税がゼロになると考えられます。賞与にかかる所得税については、「前月中に賞与以外の普通給与の支払がない人に支払う賞与」は通常の人とは異なり、以下の手順で計算します。
社会保険料等控除後の賞与の金額を6で除す。
源泉徴収税額表の月額表甲欄によって、1により求めた金額とその人の扶養親族等の数とに応じた税額を求める。
によって求めた税額を6倍したものがその賞与に対する源泉徴収税額となる。


 今回のケースでは詳細が分かりませんが、前月に支払われた給与がゼロ、育児休業中のため社会保険料は免除されている、甲欄の適用という前提で考えてみましょう。
30万円÷6=5万円
扶養親族等なしで月額表は88,000円以上から税額の発生のため、今回は税額ゼロ
0円×6=0円 → 賞与にかかる所得税ゼロ


【まとめ】
 賞与にかかる所得税の計算は通常の給与計算にかかる所得税とは計算方法が異なり、前月に支払われた給与を計算で使うため、ややこしいです。ミスを防ぐためには、一定の社員についてピックアップをし、税額の計算をするとともに、所得税がゼロの人についてその理由を確認するという作業が必要になるでしょう。



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2007年6月12日「賞与計算における社会保険料取扱い注意事項2 健康保険標準賞与額累計申出書」
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2007年6月11日「賞与計算における社会保険料取扱い注意事項1 標準賞与額変更・支給月喪失者の取り扱いなど」
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(宮武貴美)


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