海外で治療を受けた場合の健康保険の申請方法

海外で治療を受けた場合の保険適用 先日のブログ記事「海外派遣者の社会保険・雇用保険・労災保険の取り扱い」では、海外勤務者の社会保険加入の問題を取り上げました。名南経営では上海に法人を設立し、数名の社員を実際に派遣しているのですが、今回はその上海の法人に派遣される社員に関して、私が社内で実際に相談を受けた海外での治療費の問題について取り上げてみたいと思います。



[質問]
 前回の質問で健康保険を加入し続けられることが分かりました。本人にも説明したところ、「中国でかかった治療費は日本の保険証を出しても利用できないと想像はつくのですが、それでは実際に病院に行く際にはどうすれば良いのでしょうか?」という質問がありました。一旦、本人が立て替えることになるのかと思いますが、注意点などがあれば教えてください。


[回答]
 ご質問にある通り、海外でかかった治療費は一旦立替て頂き、日本で療養費の支給申請を行うこととなります。この際に添付資料として「診療内容明細書」(画像はクリックして拡大)、「領収明細書」、「およびの日本語の翻訳文」が必要となります。事前に社会保険事務所で「海外療養費支給申請添付書類様式」を入手し、そこに中国で治療を受けた際に医師の証明をもらう準備をしておくと良いでしょう。なお注意点として、あくまでも支給される療養費は国内における保険診療の範囲内となります。海外で受けた治療のすべてが療養費支給申請の対象となるわけではありません。


[まとめ]
 海外勤務における病院への罹り方は、保険の取扱いも日本と異なることから取扱いに不安を感じるものです。事前に書類を渡す工夫を行うとともに、その申請方法や療養費の受取方法も決定しておいた方がよいでしょう。社会保険事務所から直接海外送金することはできないため、代理として事業主が一旦受け取るなどの工夫が必要になると思われます。



関連blog記事
2007年7月13日「海外派遣者の社会保険・雇用保険・労災保険の取り扱い」
https://roumu.com
/archives/51017702.html

2007年7月10日「社員に海外出張させる場合の労災適用」
https://roumu.com
/archives/51015120.html


参考リンク
社会保険庁「健康保険給付関係申請書一覧」
http://www.sia.go.jp/sinsei/iryo/kyufu.htm


(宮武貴美)


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