社員が抱える「成長」に対する不安感への対処

 会社は社員が成長し戦力となってくれることを期待し、社員もそれを望んでいます。しかし、この労使相互の想いは、なかなかそう上手くはいかず、人材育成に苦労されている職場が多いというのが現状ではないでしょうか。


 同じ職場内においてもうまく成長できている社員とそうでない社員とのばらつきが発生してしまうのにはいくつかの原因があります。まず、組織側としては、育成に計画性がないこと、仕事優先のため研修時間が十分に確保できていないこと、上司や先輩社員も自分の仕事を優先せざるを得ないため指導が後回しになっていることなどが考えられます。また一方の社員も、仕事が自分に合っていないのではないかと不安を感じ、その不安を抱えたまま悶々と仕事をしているために、学びたい・成長したいという思いがあっても、進んで勉強したり上司に教わったりという行動をとることに遠慮してしまうことがあるのではないでしょうか。このような状態を放置しておくことは、会社にとっても社員にとっても好ましくないことであり、こういった不安感が離職へ繋がる大きな原因となってしまいます。


 こうした状況を解消するためには、やはり会社や上司のフォローが不可欠です。例えば、不安を抱えている社員に対し、1年前の自分と現在とを比較して、何ができるようになったのかを考えるように上司から促し、社員に自分の成長を実感させることで、不安感を減らしていくといった具体的な取り組みが求められます。また、直属の上司ではなく、同じ大学の先輩であったり、似たような境遇で入社してきたといった親近感のある先輩社員を相談相手に任命して、気軽に相談できる関係をつくっておくことも重要ではないでしょうか。


 すべての社員は自らの成長と、組織への貢献を本来的に願っています。企業としてはその想いを実現するためのサポートをすることで、結果的に労使においてWIN-WINの関係が構築できるのではないでしょうか。この会社に入社して、自分を高めることができたと社員が思えるような組織を目指したいものです。



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(福間みゆき)


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