組織を悩ますコミュニケーション下手の増加

 先日の日本経済新聞に、管理職・若手の双方がコミュニケーション下手になっているという記事が掲載されていました。管理職は若手に対して「能力がある」「勤勉」というイメージを持ちながらも、「コミュニケーションが下手」というイメージを抱き、若手の方も、管理職に対して「勤勉」「柔軟」の次に「コミュニケーションが下手」というイメージを抱いているという結果が出ていました。コミュニケーション下手ということは、管理職が部下の考えや思いを、部下が管理職の考えや思いを十分に理解できていないということを意味しており、組織にとって非常に頭の痛い状態です。


 企業は採用においてコミュニケーション能力を重視しており、期待する人材像に「コミュニケーションに長けた人」と掲げているところもあります。面接の段階では、少なくとも会社の基準を満たしている(と思われる)人材が入社しているにもかかわらず、数年後にコミュニケーション下手というイメージになってしまっています。コミュニケーション能力が伸びるどころか、逆に下手になっている要因には、個人的な要因だけでなく組織的な要因が大きく影響しているのでしょう。


 例えば、メールの普及やフレックスタイム制の導入などによって社員同士の会話が減っていることや、職場の人員構成に偏りがあって世代間ギャップを感じていることなどがその要因として挙げられるでしょう。その他にも、仕事のやり方そのものがオートメーション化によって変わり、機械が自動的に調整してしまうために、社員同士で連絡調整することも減っていることもあるでしょう。話ができない、話をしなくても済んでしまっている環境が、コミュニケーション能力を低下させていることは間違いありません。


 こうした状況を改善するためには、会社のトップ自らがコミュニケーションの重要性を訴えていくことが不可欠です。また、会社を動かしているルール自体を変えてみること、例えばフレックスタイム制を見直すであるとか、メールの導入により削減した会議のいくつかを復活させるといったように、ゼロベースで考えてみることも必要ではないでしょうか。会社のルールは社員の行動に大きな影響を与えるます。コミュニケーション下手を解消するためには、社員の意識改革と併せて会社のルールも変えていくことも欠かせないでしょう。



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(福間みゆき)


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