人材流出予防のための処方箋

 年度末を控え、人事担当者は何かと忙しい時期になっているかと思いますが、この時期は3月末での退職者が発生しないかと気を揉んでいる方も少なくないのではないでしょうか。実際に退職願が提出されると、「賃金が安かったのではないか?」とか、「職場の雰囲気に問題が合ったのではないだろうか?」といったようにその理由が気になるところだと思いますが、既存の調査結果によると、転職する際にもっとも重視する条件としては、「賃金」よりも「仕事そのもの」が選択される傾向が見られます。もちろん、年代などによってもバラツキはありますが、多くの社員はいま以上にやりがいのある仕事を求めて転職していると考えられます。


 しかし、実際の職場を見るとやりがいのある仕事ばかりではなく、むしろそうではない仕事の方が多いというのが多くの職場の現実です。こういった現状がある中でも、社員がその仕事に少しでもやりがいを感じることができる環境を構築していかなければなりません。そのために必要な取組みについて、会社の施策と上司の役割に分けて考えてみたいと思います。


 まず会社の施策としては、社員が多くの仕事に携わることができるような環境を構築することが求められます。誰しも長期間、ルーティンの仕事に忙殺されてしまっては、仕事のやりがい以前に自らの将来に不安を覚えることにも繋がります。よって、新しい仕事に限らず、今まで経験することのなかった仕事に携わる機会を組織的に提供することは大きな効果があります。具体的には社内公募制や社内FA制度、正社員転換制度、職場一日体験デーといった取り組みがはその一例となりますが、こうした施策を行う際には、社員の中から是非とも携わりたいという応募者を募るなどして、社員の意欲を湧き出させていくことも不可欠でしょう。


 一方、現場の上司は、第一線のリーダーとして、社員の動機づけを行うことが強く求められます。部下が現在の仕事にやりがいを感じていない場合には、その仕事の意味づけを行い、社員本人の認識を改めることが重要です。併せて、2~3年後にはどのような仕事をしてもらいたいと考えているのか、またどのような役割を期待しているのかを伝えておくことが望まれます。


 最近、多くの企業で「先が見えない不安感」からのモティベーションダウンや離職率の悪化が大きな課題となっています。現状に対してやりがいを感じず、モチベーションの低い状態を放置しておくと、他の社員へ伝播してしまうことも懸念されます。社員の様子を察し、早めに対応しておくことが人材流出への予防にもつながっていくのではないでしょうか。



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2007年5月10日「新入社員の会社選択の基準は「雰囲気」「仕事の内容」「個性が活かせる」がダントツ」
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(福間みゆき)


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