人材流出予防のために求められる企業魅力度の向上
今回は、2008年2月23日のブログ記事「人材流出予防のための処方箋」に引き続き、社員の退職の問題について考えてみたいと思います。入社当初は、誰しも会社や仕事に対して思い入れや憧れを持っていますが、数年経つとその想いは薄れ、場合によっては退職という選択に至ることも少なくありません。会社としてはやっと育ってきたところなのに、どうして辞めてしまうのかと頭を抱えることもあるでしょう。特に人事担当者や部門長の場合は、その社員の応募や選考の段階から関わっており、また入社してからも何かと接点が多いため、退職の申出を受けると、これまで自分がしてきたことは何だったのかと考え、ショックを受けることも多いはずです。
2007年2月23日のブログ記事「エンプロイメンタビリティ改善による企業魅力度の向上」では、「社員の能力向上により業務の質の向上や、組織への求心力を高めるという意味からも、社員のエンプロイヤビリティの開発は、企業にとっても重要な課題となっていると理解する必要がある」を書きましたが、人材不足がより深刻になる中で企業としては社員から魅力のある存在になっていくことが重要になっています。具体的には企業は社員に対して、会社や仕事を好きになってもらう努力をしていくことが求められていますが、そのために必要な取組みについて、会社の施策と上司の役割に分けて考えてみたいと思います。
企業としては、社員が働きやすい環境を創っていくこと、成長の場を提供していることが重要です。働きやすい環境としては、まずは残業時間を含めたトータルの労働時間の削減が多くの企業の課題になっています。ノー残業デーの設定やメリハリのある仕事を奨励するような雰囲気を醸成することなどが求められます。次に、成長の場を提供していくこととしては、この会社で働くことによって、社員がどのように成長していけるのかを見せて、実際にその機会を与えることが必要です。どのような仕事があって、それができるためにどのような教育を受けることになっているのかなど、会社で働き続けていくイメージをもたせることが望まれます。
次に上司としては、部下への動機づけや会社や仕事への思いを共有していくことが求められます。動機づけについては、仕事の面白みややりがいを感じることができるように、仕事を任せる際に目的を確認したり、上手くいったときは褒めることが欠かせないでしょう。そして、会社や仕事への思いを共有していくこととは、外出時の移動時間や飲み会などの機会を利用して、入社の動機であったり、仕事の成功・失敗体験などを話してみることです。このことによって、社員自身がこの会社で働いていくことの意味を再確認するきっかけに繋がるのではないでしょうか。
関連blog記事
2008年2月23日「人材流出予防のための処方箋」
https://roumu.com
/archives/51258783.html
2007年2月23日「エンプロイメンタビリティ改善による企業魅力度の向上」
https://roumu.com
/archives/50896886.html
(福間みゆき)
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