中堅企業に大きな影響が予想される障害者雇用の法改正の動向

中堅企業に大きな影響が予想される障害者雇用の法改正の動向 障害者雇用の促進は労働行政上の大きなテーマとなっていますが、先日、厚生労働省作成の「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」が国会に提出されることが閣議決定されました。今回の改正は企業の実務にも非常に大きな影響を与えるものとなっていますので、そのポイントを取り上げたいと思います(画像はクリックして拡大)。


 今回の「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」を見ると、様々な事項が記載されていますが、中でも重要と思われるものを3つご紹介しましょう。



障害者雇用納付金の納付義務等の対象範囲の拡大
(1)平成22年7月1日施行予定分
 当分の間、障害者雇用納付金の徴収、障害者雇用調整金の支給等に関する規定を適用しないものとする暫定措置の対象範囲は、その雇用する労働者の数が常時200人以下である事業主とすること。
(2)平成27年4月1日施行予定分
 当分の間、障害者雇用納付金の徴収、障害者雇用調整金の支給等に関する規定を適用しないものとする暫定措置の対象範囲は、その雇用する労働者の数が常時百人以下である事業主とすること。


短時間労働者等の雇用義務対象への追加(平成22年7月1日施行予定)
 雇用義務等に関する規定における労働者数および障害者雇用率の算定に当たっては、短時間労働者は、その一人をもって、厚生労働省令で定める数の労働者に相当するものとみなすものとすること。


関係子会社に雇用される労働者に関する特例(平成21年4月1日施行予定)
 事業主およびすべての関係子会社が申請を行い、当該事業主が雇用する身体障害者または知的障害者である労働者および当該関係子会社に雇用される身体障害者または知的障害者である労働者の雇用の促進等を確実に達成することができると認められること等の基準に適合するものとして厚生労働大臣の認定を受けた場合は、雇用義務等に関する規定の適用については、当該関係子会社が雇用する労働者は当該事業主のみが雇用する労働者と、当該関係子会社の事業所は当該事業主の事業所とみなすものとすること。



 中でも影響が大きいのが障害者雇用納付金の納付義務等の対象範囲の拡大です。従来、301人以上の企業に課せられていた障害者雇用納付金の対象が段階的に引き下げられ、平成27年度には101人以上の企業まで拡大されることとなっています。これにより該当規模の企業については障害者雇用に関する各種調査・指導が強化されることも予想され、実務としては非常に大きな影響が出ることになるでしょう。いまから障害者を活用できる仕事の整備などが求められます。



関連blog記事
2007年12月3日「強化される障害者雇用の指導基準と「雇入れ計画作成命令」の対象範囲拡大」
https://roumu.com
/archives/51177949.html

2007年2月13日「4月より障害者雇用調整金等の申告期日が変更されます」
https://roumu.com
/archives/50887481.html


参考リンク
厚生労働省「「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/03/h0307-1.html
厚生労働省「障害者雇用納付金制度の概要」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha02/pdf/19.pdf


(大津章敬


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