昇給を考える その2:ビジネスモデルに対応する賃金制度の構築

 前回、「労働(職種、能力、成果)」をどの階層へどの程度反映するか、雇用を引き留める(リテンション)色をどこまで出すか、の二つの要素のバランスが課題であるとした。


 は、よくいわれる「能力に応じた処遇の反映」として人事制度構築の中心となるところであるが、ここは基本的には経営方針及び各部門のミッション(存在意義)に沿った期待人材像(能力や行動、成果)を職種別階層別に落とし込んだ能力等級制度を敷くことになる。定義としては、等級の変更(昇格)は要求する仕事の次元の変化、昇給はその等級内部での習熟向上度合いの反映である。このと次のとのバランスでその企業の人事賃金制度のフレームを考える。なお、賞与は生活給的意味合いは残されているものの、基本的には短期の成果配分としての位置づけである。その等級に要求される期待人材像の要件を、各人に対して1年の具体的な目標やタスク(目標を含んだ期待と要求の事項)として落とし込んだ指標に対し、どの程度の結果であったか、を問うものが成果評価となり、賞与に反映される。


 は、年齢給に代表される年齢対応賃金や、勤続年数に対応する昇給全体のバランスをどのようにするかということになる。生活扶助手当面の是非も検討もする。ここはその職種のビジネスモデルに影響される。つまり、社内習熟の長期競争原理が有効な職種では雇用をできるだけ引き留める政策となる。この会社で一応は安心して人生設計ができると感じてもらえる制度を構築することになろう。大幅ではないが徐々に上がる基本賃金、比較的厚い生活扶助的手当、勤続年数に比例した比較的多めの退職金、そして長期の競争を反映する能力等級制度、役職制度などを検討していく。多くの企業の生産部門などはここに入るだろう。但し、中期短期的なビジネスモデルの職種でも、長期に亘ってハイパフォーマンスを発揮するコア人材群には、引き留め(リテンション)の対策も重要になってくる。


 一方で、中期短期的な競争原理が必要なビジネスモデルの職種においてはの色合いが強まる傾向があり、さらにインセンティブ効果を狙って昇給や賞与、報奨金に多くの原資を割くことになる。



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(小山邦彦)


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