前年度比1.9倍と急増するセクシュアルハラスメント等に関する相談

前年度比1.9倍と急増するセクシュアルハラスメントに関する相談 先日、東京労働局雇用均等室より平成19年度の男女雇用機会均等法に関する相談等の状況が発表されました。平成19年4月に男女雇用機会均等法が改正された影響もあり、全体の相談数が前年度に比べ約1.9倍と急増しているのですが、その中でもセクシュアルハラスメント(以下、「セクハラ」という。)の増加が顕著に現れています。


 まず、相談件数で見ると、労働者から雇用均等室に寄せられた相談のうち、もっとも多い内容は、「セクシュアルハラスメントに関するもの」であり、平成19年度における相談件数は、1,532件と全体の77.8%となっています。平成18年度は629件であったため、2.4倍増という驚くべき数字が出ています(グラフはクリックして拡大)。その具体的相談内容として挙げられているものが、「セクシュアルハラスメントを受けたため会社の相談窓口に相談し、対応を求めたが、適切な対応がなされない」というものであり、形式的な相談窓口の設置のみではなく、適切に運用されることが求められていることがわかります。また、改正男女雇用機会均等法において、これまでの女性に対する差別の禁止から男女双方に対する差別が禁止されたことにより、男性労働者からの相談が増加しており、相談件数1,970件のうち76件が男性労働者からの相談で、その80.3%(61件)が「セクシュアルハラスメントに関するもの」であったという結果が出ています。


 一方で、東京労働局の是正指導件数は、セクハラ対策に関するものが255件と全体の55.1%となっており、今後も法違反事業場に対して男女雇用機会均等法に沿った雇用管理を行うよう指導を強化していく方針としています。セクハラの問題は、その被害者が我慢してしまうことで、表面化されにくく、問題が潜在化し、対策が後手に回りやすいものです。企業側は、セクハラ対策の方針を明確にし、相談窓口の積極的な活用を促し、問題の小さなうちに対策が打てるよう進める必要があるでしょう。



関連blog記事
2007年08月22日「改正男女雇用機会均等法対策!セクハラ認識度チェックシートダウンロード開始!」
https://roumu.com
/archives/51050348.html

2007年2月22日「平成19年4月に行われる労働関連法改正のポイント~健康保険法・雇均法の改正(2/2)」
https://roumu.com
/archives/50895210.html

2006年07月23日「平成19年4月に施行される改正男女雇用機会均等法のポイント」
https://roumu.com
/archives/50656676.html


参考リンク
東京労働局「改正男女雇用機会均等法施行後1年の状況について」
http://www.roudoukyoku.go.jp/news/2008/20080530-soudan/20080530-soudan.html


(宮武貴美)


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