年2回の健康診断実施が必要な深夜業務従事者の範囲
6月9日のブログ記事「育児休業中の定期健康診断の実施の必要性」で育児休業中の定期健康診断実施について取り上げたところ、深夜業に従事する従業員に対する健康診断について質問を頂きました。今回は深夜業に従事する労働者に対する健康診断の実施について取り上げましょう。
【質問】
当社では原則として深夜にかかる労働は許可していないのですが、先日、工場にある機械が故障し、修理に時間がかかったため、突発的に23時までの残業が発生しました。これまでは定期健康診断を年に1回実施してきたのみですが、この社員に関しては、半年に1回実施をしなければならないのですか?
【回答】
労働安全衛生規則では、深夜業に常時従事する労働者に対し、6ヵ月以内ごとに1回の健康診断の実施を義務付けています。この常時従事するという明確な基準は設けられていませんが、今回のように原則として深夜時間帯に労働する可能性がない労働者の、突発的な勤務に関しては実施する必要がないでしょう。ただし、質問のような機械の故障が頻繁にある場合や、そもそもの所定労働時間が深夜時間帯にあるような労働者については、この健康診断の対象となります。独立行政法人労働者健康福祉機構が実施している「自発的健康診断支援助成金」の支給要件のひとつである「自発的健康診断を受診する日前6ヶ月の間に1ヶ月当たり4回以上」という項目が判断基準の目安になるでしょう。
[関連条文]
労働安全衛生規則 第45条(特定業務従事者の健康診断)
事業者は、第十三条第一項第二号に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び六月以内ごとに一回、定期に、第四十四条第一項各号に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。この場合において、同項第四号の項目については、一年以内ごとに一回、定期に、行えば足りるものとする。
2 前項の健康診断(定期のものに限る。)は、前回の健康診断において第四十四条第一項第六号から第九号まで及び第十一号に掲げる項目について健康診断を受けた者については、前項の規定にかかわらず、医師が必要でないと認めるときは、当該項目の全部又は一部を省略して行うことができる。
3 第四十四条第三項及び第四項の規定は、第一項の健康診断について準用する。この場合において、同条第四項中「一年間」とあるのは、「六月間」と読み替えるものとする。
4 第一項の健康診断(定期のものに限る。)の項目のうち第四十四条第一項第三号に掲げる項目(聴力の検査に限る。)は、前回の健康診断において当該項目について健康診断を受けた者又は四十五歳未満の者(三十五歳及び四十歳の者を除く。)については、第一項の規定にかかわらず、医師が適当と認める聴力(千ヘルツ又は四千ヘルツの音に係る聴力を除く。)の検査をもつて代えることができる。
関連blog記事
2008年6月9日「育児休業中の定期健康診断の実施の必要性」
https://roumu.com
/archives/51347474.html
2007年10月12日「健康診断を受診させる必要のあるパートタイマーの条件」
https://roumu.com
/archives/51109855.html
(宮武貴美)
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