育児休業中の定期健康診断の実施の必要性
春先から初夏にかけては新入社員の入社や気候の関係から定期健康診断を実施する企業が多くあるようで、これに関する質問をたくさん頂いています。今日はその中のひとつ、育児休業取得者に対する健康診断実施の必要性を取り上げましょう。
【質問】
当社では、毎年7月1日に全社員の定期健康診断を実施しています。今回も既に健診機関を手配し、実施の準備が整いました。ところで、今年の年初から育児休業を取得している社員がおり、7月1日も育児休業中の予定です。この社員にも何らかの形で定期健康診断を受診させる必要がありますか?
【回答】
育児休業中の社員については、定期健康診断を実施しなくとも問題ありません。ただし、実施しなかった場合には復帰後、速やかに健康診断を実施する必要があります。
労働安全衛生法では、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回の定期健康診断を実施することを義務付けています。ただし、以下の通達にあるように育児休業をはじめとした休業中の労働者に対しては、実施をしなくとも差し支えないとしています。健康診断は、事業場で実施する他、近くの医療機関で個別に受診するような方法を採っている企業も多くあります。健康診断の結果の管理も含め、各企業にあった方法を検討し、取扱いを決めておいた方法がよいでしょう。
[関連通達]
育児休業等により休業中の労働者に係る健康診断の取扱いについて(平成4年3月13日 基発第115号)
育児休業、療養等により休業中の労働者に係る労働安全衛生法第66条第1項から第3項まで(労働安全衛生規則第44条第1項、第45条第1項、第48条、有機溶剤中毒予防規則第29条第2項、鉛中毒予防規則第53条第1項、四アルキル鉛中毒予防規則第22条、特定化学物質等障害予防規則第39条第1項及び第2項、高気圧作業安全衛生規則第38条第1項並びに電離放射線障害防止規則第56条第1項)並びにじん肺法第8条第1項に規定する定期健康診断(以下「定期健康診断」という。)及び指導勧奨による特殊健康診断の取扱いについては、下記によることとされたい。
記
1.休業中の定期健康診断について
事業者は、定期健康診断を実施すべき時期に、労働者が、育児休業、療養等により休業中の場合には、定期健康診断を実施しなくてもさしつかえないものであること。
2.休業後の定期健康診断について
事業者は、労働者が休業中のため、定期健康診断を実施しなかった場合には、休業修了後、速やかに当該労働者に対し、定期健康診断を実施しなければならないものであること。
3.指導勧奨による特殊健康診断について
休業中及び休業後の指導勧奨による特殊健康診断については、上記1及び2に準じて実施するよう事業者等を指導すること。
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(宮武貴美)
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