10月の協会けんぽ設立で保険料率はすぐに変わるのか?

 今日は設立まで1ヶ月強となった全国健康保険協会(以下「協会けんぽ」という)について、顧問先様から頂いた質問を取り上げてみましょう。



【質問】
 10月から、現在加入している政府管掌健康保険から「協会けんぽ」に変わると聞きました。保険証も変わるということで回収が手間だと今から心配になっています。ところで、協会けんぽに変わることで、これまでの保険料はどうなるのですか?やはり、設立と合わせて変更になるのですか?


【回答】
 平成20年10月より、政府管掌健康保険(以下「政管健保」という)に代わり、平成20年10月に協会けんぽが新たに設立され保険者となります。その際には、2008年5月30日のブログ記事「10月の協会けんぽ設立で新保険証へ切替えに」でも取り上げたとおり、保険証の切替が必要となります。その他、各種申請等の窓口についても一部は変更となり、健康保険の加入や保険料の納付等に関する適用・徴収関係の手続きはこれまでと同様で社会保険事務所が行い、健康保険の給付や任意継続等に関する給付関係手続きは協会けんぽの各都道府県支部が行うという役割分担がされることになっています。


 保険料率については、協会けんぽ設立時には、現在の政管健保の保険料率である8.2%が適用されることになっているため、設立と同時に変更になることはありません。ただし、協会設立後、1年以内に、事業主・被保険者が参画する運営委員会や各都道府県の評議会の意見聴取をした上で、都道府県別の保険料率を設定することになっています。都道府県単位の保険料率の場合、年齢構成の高い県ほど医療費が高く、保険料率が高くなったり、所得水準の低い県ほど同じ医療費でも保険料率が高くなることから、年齢構成や所得水準の違いは都道府県間で調整した上で、地域の医療費を反映した保険料率を設定することとなっています。また、都道府県別保険料率への移行に当たり、保険料率が大幅に上昇する場合には激変緩和措置を講ずることとなっています。保険料の変更については、すぐに対処が必要なことはありませんが、10月以降も随時情報収集をしていく必要があるでしょう。


【まとめ】
 協会けんぽについては、設立間近であるにも関わらず、まだ公表されている情報が少なく、また、各都道府県の社会保険事務局の情報の公開にも差があるようです。保険料の変更がないことを考えると、さほど大きな問題はないかも知れませんが、後期高齢者医療制度施行時のように混乱も多少、懸念されるところです。



関連blog記事
2008年5月30日「10月の協会けんぽ設立で新保険証へ切替えに」
https://roumu.com
/archives/51335017.html

2007年10月10日「社会保険庁廃止に伴う都道府県別健康保険料率設定の影響」
https://roumu.com
/archives/51109890.html


参考リンク
社会保険庁「平成20年10月から、政管健保は、協会けんぽに変わります」
http://www.sia.go.jp/topics/2007/n1227.htm


(宮武貴美)


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