解雇による住宅喪失者に対する労働金庫の低利融資制度

 今回の雇用危機では派遣労働者や有期雇用者が解雇や雇止めなどにより、それまで入居していた社員寮からの退去を余儀なくされ、住宅を喪失してしまうことが大きな問題として指摘されています。この問題に対応するため、厚生労働省は労働金庫の協力の下、ハローワークを相談窓口として、住宅入居初期費用等の資金を貸し付ける「就職安定資金融資」事業を開始しています。今後もこうした問題が続くことが予想されるため、以下においてこの制度の概要をご紹介しましょう。



申込資格
  以下の(1)~(4)のいずれにも該当するとハローワークにより認定された者
(1)事業主都合による離職に伴って住居喪失状態となった者
(2)常用就職の意欲が認められ常用就職に向けた活動を行うこと
(3)預貯金・資産がない者
(4)離職前に主として世帯の生計を維持していた者


資金使途
(1)住宅入居初期費用
・敷金・礼金・前家賃・仲介手数料・火災保険料・入居保証料(上限40万円)
・転居費及び家具什器費(上限10万円)
(2)家賃補助費
 上限36万円:6万円×6ヶ月
(3)生活・就職活動費
 常用就職活動費 上限90万円(15万円×6ヶ月)


融資限度額
 離職者(雇用保険受給資格者)50万円
 離職者(非雇用保険受給資格者)176万円


金利
 固定金利(年利)1%(別途保証料0.5%)


返済期間
 据置期間6ヶ月後10年以内


返済方法
(1)毎月元利均等返済
(2)据置期間中は利息のみの返済


備考
 融資後6ヶ月後までに常用就職し、その旨ハローワークの認定を受けた場合は一部返済免除となる。


 年度末に向け、企業業績の更なる低迷が懸念されており、雇用問題はまだしばらく継続することが予想されます。こうした制度の利用者ができるだけ増加しないことを願いたいところではありますが、もしそのような状況に陥ってしまった場合にはハローワークに相談されることをお勧めします。



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参考リンク
厚生労働省「解雇等による住居喪失者に対する「就職安定資金融資」事業を開始します」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/h1219-8.html
全国労働金庫協会「就職安定資金融資の取扱いを開始します」
http://all.rokin.or.jp/press/081219.html


(大津章敬)


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