人員削減対象者に対し住居を提供する事業主への助成金制度が創設

人員削減対象者に対し住居を提供する事業主への助成金制度が創設 景気の変動による人員削減というのは過去にも何度もその波が押し寄せていますが、今回の人員削減の波が従来のそれと大きく異なるのは、(現在のところ)派遣労働者や有期契約労働者などのいわゆる非正規労働者が中心であるということでしょう。これはわが国の雇用形態がここ10年で大きく変容したことが背景にありますが、こうした非正規労働者の多くは雇用主から住居の提供を受けていることが多いことから、解雇や雇止めによって職と一緒に住居まで失ってしまうということが大きな問題になっています。


 この問題に対応するため、離職者住居支援給付金(仮称)の創設が先日、厚生労働省より発表されました(画像はクリックして拡大)。この助成金は派遣労働者または有期契約労働者との契約の中途解除や雇止め等を行った際に、離職後も引き続き住居を無償で提供した場合または住居に係る費用の負担をした事業主に一定の助成を行うというものです。以下、その概要について見ていくこととしましょう。



[対象となる事業主]
再就職援助計画を作成し、管轄の公共職業安定所長に提出し、認定を受けること。
次のいずれかに該当する労働者に住居を提供していること。
(1)雇用保険被保険者(被保険者期間は問わない)であること
(2)6か月以上雇用されている雇用保険被保険者以外の者(週の所定労働時間が20時間以上の者に限る)であること


[支給額]
対象労働者1名につき、1か月当たり4~6万円を支給
※事業所の所在地によって、支給額が異なる。


[助成期間]
1か月から6か月まで


 なおこの助成金の詳細はまだ決定していませんが、現在の予定では平成20年12月9日に遡って適用される予定となっています。また対象労働者が派遣労働者である場合の申請者は、派遣元事業主となります。



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参考リンク
厚生労働省「雇用調整助成金等の拡充及び離職者住居支援給付金(仮称)の創設について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/h1219-5.html


(大津章敬)


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