今春の昇給は昨年比で大幅減の見通し

 今年は深刻な雇用危機の影響から、春の昇給の話題がほとんど出てきていませんが、そんな中、先日、労務行政研究所より毎年恒例の「2009年賃上げの見通し ―労使,学識者444人アンケート調査」の結果発表がありました。この調査は賃金交渉の動向を把握するための参考資料として昨年の12月から1月中旬に掛け、東証第1部および第2部上場企業の労使および大学教授などの学識経験者を対象に実施されたもの。


 これによれば2009年の賃上げ見通し(東証第1部上場クラスの企業を目安)は、全回答者の平均で5,113円(1.6%)となりました。昨年(2008年)の厚生労働省・主要企業における賃上げ実績は6,149円(1.99%)でしたので、これと比較すると1,000円以上マイナスという非常に厳しい見通しとなっています。なお、この水準は1974年の本調査の開始以来、2003年の予測値1.5%に次ぐ、2番目に低い水準に止まっています。


 現在の企業の収益状況および雇用情勢を考えると昇給どころではない企業が少なくないと思われますが、そろそろ春闘も本格化してきますので、傾向は押さえておきたいところです。



関連blog記事
2009年1月25日「厚労省より平成20年賃金構造基本統計調査の都道府県別速報が発表」
https://roumu.com
/archives/51489512.html

2009年1月3日「平成20年に賃上げを実施した企業は前年比で8.8%の大幅減」
https://roumu.com
/archives/51476589.html

2008年12月30日「東京都中小企業のモデル賃金 大卒35歳は326,035円」
https://roumu.com
/archives/51476228.html

2008年11月25日「今春の大卒初任給は男性201,300円、女性194,600円と共に増加」
https://roumu.com
/archives/51456663.html

2008年9月12日「今春の大卒事務系初任給平均は前年比プラス1,191円の206,969円」
https://roumu.com
/archives/51407427.html

2008年7月28日「日本経団連の2008年中小企業賃上げ調査 最終集計結果は4,184円(1.66%)」
https://roumu.com
/archives/51377952.html

2008年7月9日「2008年都内労働組合の賃上げ最終結果 7年振りの6,000円台回復」
https://roumu.com
/archives/51367470.html


参考リンク
労務行政研究所「2009年賃上げの見通し ―労使,学識者444人アンケート調査」
https://www.rosei.or.jp/contents/detail/14016


(大津章敬)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。