徐々に明らかになってきた障害者雇用に関する法改正の詳細

中堅企業に大きな影響が予想される障害者雇用の法改正の動向 2008年12月22日のブログ記事「改正障害者雇用促進法が成立 障害者納付金が中小企業にも段階的に適用」でもお伝えしたとおり、昨年末の国会において改正障害者雇用促進法が成立しました。これにより障害者納付金制度が平成22年7月1日以降、段階的に中小企業にも適用されることとなりましたが、その運用に関する政省令の内容が徐々に見えてきました。そこで本日は2月4日に行われた「第35回労働政策審議会障害者雇用分科会」で提出された資料「障害者雇用促進法改正に伴う政省令等の改正について」のポイントを取り上げることとします。



短時間労働者の雇用率カウント(平成22年7月1日施行)
 雇用率制度の適用にあたっては、以下の対応が考えられる。
(1)雇用障害者数(分子)については、身体障害者又は知的障害者である短時間労働者は、現行の精神障害者である短時間労働者と同様、0.5人分と算定すること、
(2)常用労働者数(分母)についても、短時間労働者は0.5人分と算定すること


納付金制度対象拡大に伴う中小企業の障害者雇用納付金および障害者雇用調整金の額(平成22年7月1日・平成27年4月施行)
 今般の納付金制度の適用拡大にあたっては、「中小企業を取り巻く厳しい経営環境や、中小企業の負担能力等に配慮することが適当であることから、中小企業において円滑に障害者雇用が進むために十分な期間、納付金の額を減額するとともに、併せて、調整金の額を減額すること」(平成19年12月19日労働政策審議会意見書)とされている。具体的には、新たに障害者雇用納付金制度の適用対象となる施行日(平成22年7月1日・平成27年4月1日)から5年間は、障害者雇用納付金の金額を、通常の8割に相当する、40,000円とする。また、障害者雇用調整金の額については、障害者雇用調整金の額(27,000円)と報奨金の額(21,000円)との均衡を考慮し、その中間に当たる24,000円(調整金の約9割相当)とすることが考えられる。


 このように今回の改正を受けて、短時間労働者の雇用率のカウントは分子・分母とも0.5人とすること、中小企業における納付金等の額については減額するという方向性が打ち出されています。この件については今後も当ブログでフォローアップしていきます。



関連blog記事
2009年2月17日「障害者雇用に関して創設・拡充された助成金制度」
https://roumu.com
/archives/51503716.html

2008年12月22日「改正障害者雇用促進法が成立 障害者納付金が中小企業にも段階的に適用」
https://roumu.com
/archives/51472063.html


参考リンク
労働政策審議会障害者雇用分科会「障害者雇用促進法改正に伴う政省令等の改正について」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/dl/s0204-10a.pdf


(大津章敬


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