労働者派遣と請負の区分に関する基準の質疑応答集が公開

労働者派遣と請負の区分に関する基準の質疑応答集が公開 ここ数年、多くの企業において偽装請負が大きな問題となりましたが、そもそも労働者派遣と請負の区分については、昭和61年4月17日労働省告示第37号「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」において、以下の各基準においてその判断を行うことが示されています。
(1)業務遂行方法・評価の管理
(2)業務遂行の評価の管理
(3)労働時間管理
(4)企業秩序・服務規律の管理
(5)時間外・休日労働
(6)業務処理の独立性と責任
(7)機械・設備・資材の調達
(8)専門性
(9)労働者の配置等の管理
(10)偽装・脱法


 2008年9月29日のブログ記事「労働者派遣に関する2009年問題通達のポイント」で取り上げたとおり、今後、2009年問題により再び偽装請負が問題となる可能性を秘めていますが、先日、この37号告示に関する疑義応答集が厚生労働省から公表されました(画像はクリックして拡大)。この質疑応答集では以下のような内容に関し、質疑応答形式(全15問)で具体的な判断基準を示しており、実務上非常に参考になります。派遣と請負の適正な判断を行うにあたり、是非押さえておきたい内容です。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/haken-shoukai03.pdf



発注者と請負労働者との日常的な会話
 請負労働者に対して、発注者は指揮命令を行うと偽装請負になると聞きましたが、発注者が請負事業主の労働者と日常的な会話をしても、偽装請負となりますか。
 発注者からの注文(クレーム対応)
 欠陥製品が発生したことから、発注者が請負事業主の作業工程を確認したところ、欠陥商品の原因が請負事業主の作業工程にあることがわかりました。この場合、発注者が請負事業主に作業工程の見直しや欠陥商品を製作し直すことを要求することは偽装請負となりますか。
発注者の労働者による請負事業主への応援
 発注者から大量の注文があり、請負労働者だけでは処理できないときに、発注者の労働者が請負事業主の作業場で作業の応援を行った場合、偽装請負となりますか。
発注者の労働者と請負労働者の混在
 発注者の作業スペースの一部に請負事業主の作業スペースがあるときに、発注者と請負事業主の作業スペースを明確にパーテーション等で区分しないと偽装請負となりますか。また、発注者の労働者と請負労働者が混在していると、偽装請負となりますか。
請負業務において発注者が行う技術指導
 請負労働者に対して、発注者は指揮命令を行ってはならないと聞きましたが、技術指導等を行うと、偽装請負となりますか。



関連blog記事
2008年11月5日「注目の改正労働者派遣法案 昨日閣議決定」
https://roumu.com
/archives/51444525.html

2008年10月28日「改正労働者派遣法 法律案要綱のポイント」
https://roumu.com
/archives/51438553.html

2008年9月29日「労働者派遣に関する2009年問題通達のポイント」
https://roumu.com
/archives/51420633.html


参考リンク
厚生労働省「「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)に関する疑義応答集」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/haken-shoukai03.pdf


(大津章敬)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。