従業員が新型インフルエンザ罹患で休業した場合の賃金の取扱い 多くの企業の対応は?
ここ数週間、多くの企業で新型インフルエンザに罹患した従業員が出たという話を耳にするようになりました。今後もこの問題は当面、企業の労務管理上において大きなテーマとなることが確実な状況にありますが、そんな矢先、非常にタイムリーな調査結果が労務行政研究所から公表されました。「企業における新型インフルエンザ対策の実態」と題されたこの調査は、7月22日から8月8日に同社の会員制サイトの登録者である民間企業の人事労務担当者4,263人を対象として実施されたもので、回答の得られた360社の集計結果となっています。本日は今回の問題における実務上の最大の論点の一つとなっている従業員が新型インフルエンザに罹患した場合の賃金の取り扱いについて取り上げてみましょう。
従業員が新型インフルエンザに罹患した場合には、集団感染を防止する意味から自宅療養とすることが基本的対策となりますが、その際の賃金の取り扱い方針を見ると、「賃金を通常どおり支払う(欠勤控除なし)」という企業が最多で33.1%となっています(グラフはクリックして拡大)。但し、この結果は完全月給制の企業が相当数入っている可能性があり、日給月給制を採用している企業ではここまでは多くないと予想されます。これに対し、「賃金や休業手当等は支払わない」という企業が22.2%、「賃金は支払わず休業手当を支払う」という企業が8.6%となっていますが、こうした賃金を支払わない方針の企業であっても、98.2%は年休の取得を認めるとしており、日給月給制の企業においては現実的には年休取得という通常の傷病と同様の対応を行うという運用を行っていることが窺われます。
この問題に関する法的ポイントについては、2009年9月9日のブログ記事「[ワンポイント講座]社員あるいはその家族が新型インフルエンザに罹患した際の給与の取扱い」をご参照下さい。なお、金曜日には従業員の家族が罹患した場合の対応およびその際の賃金取り扱いについて取り上げる予定をしています。
関連blog記事
2009年9月9日「[ワンポイント講座]社員あるいはその家族が新型インフルエンザに罹患した際の給与の取扱い」
https://roumu.com
/archives/51617378.html
2009年7月6日「新型インフルエンザを理由とした休業等についても雇用調整助成金の対象に」
https://roumu.com
/archives/51582309.html
参考リンク
財団法人労務行政研究所「企業における新型インフルエンザ対策の実態」
https://www.rosei.or.jp/contents/detail/20086
(大津章敬)
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