平成20年度の中退共損失は1,929億円となり、累積欠損金も3,493億円に拡大

平成20年度の中退共損失は1,929億円 中小零細企業においては退職金の積立としてもっとも多く利用されており、また近年は適格退職年金廃止問題の受け皿として多くの中小企業で活用されている中小企業退職金共済(中退共)ですが、リーマンショックおよび円高の影響から平成20年度の決算は非常に厳しいものとなってことが明らかになりました(グラフはクリックして拡大)。


 資産運用の状況を見ると、自家運用は運用収益333億円(費用控除後)、決算運用利回り1.67%となったものの、委託運用は国内外株式収益が大幅なマイナスとなったことから運用収益△2,032億円(費用控除後)、決算運用利回り△13.63%となり、全体としては決算利回りが△4.88%、当期総損失は1,929億円を計上することとなりました。これにより累積欠損金も3,492億8,000万円となり、独立行政法人移行時の承継額である3,229億5700万円を超える水準にまで逆戻りしてしまいました。累積欠損金については、平成17年度に策定された「累積欠損金の解消計画」に基づき、これまで比較的順調に進展してきましたが、今回振り出しに戻ったことで、また予定運用利回りの引下げなどの議論が噴出してくるかも知れません。



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2009年7月27日「2009年4月~6月の度企業年金の平均収益率はプラス7.01%」
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2009年7月3日「平成20年度に適年制度を解約した企業の33.0%が中退共を選択」
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2009年6月25日「平成20年度末で25,441件の契約が残る適格退職年金」
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2009年5月20日「平成20年度も低水準に止まった適年制度から中退共への引継ぎ」
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参考リンク
中退共「平成20事業年度 中退共事業の財務状況について」
http://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/joho/zaimu/index.html
中退共「平成20年度資産運用状況について」
http://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/joho/pdf/h20-unyo.pdf


(大津章敬)


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