日本年金機構から公開された定年退職時以外の社会保険同日得喪の取扱い

定年退職時以外の社会保険同日得喪の取扱い 社会保険の定年退職時にかかる同日得喪の範囲が広がったことは既に2010年7月12日のブログ記事「適用対象範囲が定年以外にも広がった社会保険の同日得喪」で取り上げましたが、先日、日本年金機構のホームページにおいて改めて「嘱託として再雇用された者の被保険者資格の取扱いの一部改正について」として情報が公開されました。

 この同日得喪は、定年退職時のみにおいて、定年・再雇用で賃金が引き下げとなった場合に、使用関係が一旦中断したものとみなし、被保険者資格喪失届および被保険者資格取得届を定年退職日の翌日付けで提出することができ、結果として、社会保険の月額変更に該当することを待たずに、標準報酬月額を引き下げることができるいうものです。社会保険料率の引き上げが続く中、保険料の削減には効果のある策としてこれまで実施されてきました、これが、9月1日以降は定年時のみではなく、以下の被保険者も対象になります。


特別支給の老齢厚生年金の受給権者である被保険者が、
定年制の定めのある事業所において定年退職以外の理由で退職後継続再雇用(※)された場合
定年制の定めのない事業所おいて退職後継続再雇用(※)された場合も対象となります。
(※)1日も空くことなく同じ会社に再雇用されることをいいます。


 この取り扱いは従業員のみではなく、法人の役員が60歳以降に退任し、引き続き嘱託社員として再雇用された場合であっても対象となるとされています。また、定年制の定めのある事業所においては、定年前に退職した者のみでなく、例えば、定年が61歳と定められている事業所において、定年後継続して2年間再雇用された後に退職し、さらに継続して1年間再雇用された場合も対象となるとされました。

 

 このようにかなり柔軟な対応がなされることとなり、これまで社会保険料の負担が大きかった被保険者、年金の調整額が大きかった被保険者にとってはかなり有利な制度といえるでしょう。一方で、社会保険の実務担当者にとってはイレギュラーケースとなりやすい事案ですので、手続き漏れがないように十分留意することが求められます。


関連blog記事
2010年7月13日「社会保険同日得喪の適用対象範囲拡大による在職老齢年金への好影響]
https://roumu.com
/archives/51759403.html

2010年7月12日「適用対象範囲が定年以外にも広がった社会保険の同日得喪」
https://roumu.com
/archives/51758834.html

 

参考リンク
日本年金機構「嘱託として再雇用された者の被保険者資格の取扱いの一部改正について」
http://www.nenkin.go.jp/new/topics/kounen_0816.html

(宮武貴美)

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